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「本田さん、解説続けてください」“引退試合”で賛否…露骨な“アルゼンチン推し”もホンダ解説はなぜ清々しいのか?〈語録で再検証〉
posted2022/12/20 11:27
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
アルゼンチン贔屓をどう考えるか
<語録1>
「きた! きた! きた! バモス! アルゼンチン、バモス!」(前半16分)
<語録2>
「PK! PK! PK!」(前半20分)
本田の“アルゼンチン推し”は露骨だった。前半16分に右サイドでボールを奪い、最後はディマリアがシュートを放つと「バモス!」と絶叫。前半20分にペナルティエリア内でディマリアが倒されると「PK! PK! PK!」と日本戦の松木安太郎氏ばりに主張した。本田の願望通りPKになり、メッシが落ち着いて決めると「イエス!」と歓喜。フランスを応援している人は、本田の声を聞きたくなかっただろう。特に延長戦に入ってからは「もういいでしょ、メッシに優勝させましょう」と懇願したかと思えば、フランスがPKを獲得すると「はっ!? はっ!? PK!? PKやん! なんやねん! でもこれ止められるぞ!」などとさらに熱狂していった。
この1カ月、本田の解説は好評を得ていた。大きな理由は監督や選手への忖度がなく、本音を吐露していると感じられたからだろう。視聴者は昨今のサッカー解説者を平凡に感じていた。周囲の評判を気にして、当たり障りのないコメントを連発するからだ。今大会、その揺り戻しで本田の解説が受けたのである。
物事は表裏一体である。「誰にも忖度しないから面白い」というプラス面があれば、「忖度されなかった人は不快になる」というマイナス面がある。本田は決勝戦でフランスを応援する視聴者や公平な放送を期待した人に遠慮しなかったため、一定の層が不満を感じた。