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「本田さん、解説続けてください」“引退試合”で賛否…露骨な“アルゼンチン推し”もホンダ解説はなぜ清々しいのか?〈語録で再検証〉
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2022/12/20 11:27
アルゼンチン贔屓の姿勢を打ち出した本田の解説に対し、ネット上で賛否両論が巻き起こった。では本田は単にアルゼンチンを応援していただけだったのか?
裏を返せば、100人中100人に好かれる解説者など存在しない。
尖った言動をすれば、必ず賛否が割れる。その否を気にして丸くなれば、面白さが消える。本田は無駄な気遣いをせず、ストレートに感情を表現する。その性格が決勝戦では“アルゼンチン贔屓”となって爆発しただけである。ただ、応援する国に対してもハッキリした物言いをしていたし、コメントの慧眼ぶりが健在だったことも忘れてはいけない。
世界的名将の采配に…「失敗やと思う」
<語録3>
「メッシのミスからの失点」(後半36分)
本田はアルゼンチンのなかでも、特にメッシを応援していた。とはいえ、冷静さは保っていた。後半36分にフランスのエムバペが同点ゴールを決めると、失点の原因を「メッシのミスから」と指摘した。“世界の至宝”は中盤でドリブルを仕掛け、ボールを奪われていた。誰にも忖度しない姿勢は失われていなかった。当然ではあるが、本田は「好き嫌い」と「良い悪い」を区別して物事を考えている。
<語録4>
「ジルーを代えたところ、ホンマ失敗やと思うんですよ」(後半18分)
<語録5>
「ほら、ラビオいる意味ないんですよ」(後半21分)
本田は単にアルゼンチンを応援していたわけではない。前半から、調子の悪いフランスの選手を交代すべきと何度も指摘していた。フランスの監督は2018年のW杯を制したデシャンである。日本には数多の解説者がいるが、世界的名将の采配に「失敗」と断言できる人はまずいないだろう。どうしても気後れする部分があるからだ。しかし、ACミランで10番を背負った本田は臆することなく、デシャンへの疑問を述べていた。もちろん選手としての実績だけでなく、日頃からサッカーを勉強しており、その見方に自信を持っているのだろう。
YouTubeで日向坂46の影山優佳について質問された時、「“ゲーゲンプレス”と聞いた時はそんなアイドルがおるんやとビックリしましたよね」と彼女を肯定し、「サッカーは自分の考えを述べるというのが一番大事。素人とか玄人とかあんま関係ない」と話していた。この精神が根底にあるのも、デシャンの采配に異議を唱えられた理由かもしれない。
「返しを期待している」…ボケの真意
<番外編>
寺川アナ:(エムバペが)徹底的に両太もものマッサージを受けていました。
本田:「徹底的に両太もものマッサージを受ける」って初めて聞きました。
寺川アナ:たしかに僕も初めて言ったかもしれません。ただ、結構徹底的にやってましたよね。(延長開始前)
本田は一見、人を近寄らせないような雰囲気を醸し出している。大会前までは、とっつきにくいイメージもあった。