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「ドラフト指名を狙いたい」東京六大学の元三冠王や“200cmエリート左腕”も…“冷やかし皆無”なジャパンウィンターリーグが面白い

posted2022/12/16 11:01

 
「ドラフト指名を狙いたい」東京六大学の元三冠王や“200cmエリート左腕”も…“冷やかし皆無”なジャパンウィンターリーグが面白い<Number Web> photograph by Kou Hiroo

晩秋から1カ月間にわたって行われたジャパンウィンターリーグでは、様々な選手が奮闘していたようだ

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 オフシーズンである冬だが、野球人は競技に打ち込める場所を作っている。沖縄で始まった「ジャパンウィンターリーグ」について現地で追った(全2回の2回目/#1へ)

 沖縄で行われているジャパンウィンターリーグは高校、大学、社会人、独立リーグなどでプレーする選手が参加し、1カ月にわたってリーグ戦を繰り広げるトライアウトリーグだ。アメリカではこういう大会が盛んにおこなわれているが、日本での本格的な開催は初めてだ。

 この大会を企画したのは31歳の鷲崎一誠代表。鷲崎氏は慶應義塾大学野球部の出身だが、在学中は出場機会に恵まれず、4年生のときにアメリカのカリフォルニアリーグというトライアウトリーグに参加し「野球をやり切った」達成感を得るとともに、ビジネスとしての可能性を感じた。卒業後はアパレルメーカーに就職したが当時から「30歳で起業」を心に秘めていて、この度これを実現したのだ。

 今回は、約70人の選手が集結した。4チームに分かれて11月26日からほぼ1カ月にわたって22試合を戦う。1日限りのトライアウトとはスケールが違う。

 参加費は選手が支払う。フル参戦は35万円、半期でも24万円。小さくない金額だ。宿泊はアトムホームスタジアム宜野湾(宜野湾市民球場)に隣接するラグナガーデンホテルだ。参加費は高額だが、野球をする環境としては理想的だ。

 多くの野球関係者や地元沖縄の企業人、行政などの協力を得て開催にこぎつけた。すでに紹介した斉藤和巳氏も、鷲崎氏の考えに共鳴して大会のアンバサダーを引き受けた。

 そして地元沖縄では、大野倫氏がGMとして現場を取り仕切っている。

大野倫氏が語るウィンターリーグの意義

 大野氏も当コラムで紹介したが、沖縄水産時代に甲子園の準優勝投手となり、九州共立大を出て巨人、ダイエーなどで野手としてプレー。引退後は地元沖縄に戻り、少年野球の指導者として活躍している。沖縄を代表する野球人であり、地元ラジオ局でラジオ番組を持つなど、知名度も高い。

「試合そのものは、ゲームコーディネーター(各チームの監督に相当)が責任を持って担当していますが、私は選手の活動全般を見ています。

 1カ月間、選手がやりやすい環境を作るのが、私の役割ですね。運営と現場ではどうしても認識に隔たりができますが、間に入ってそれを埋めています。

 選手をここまで見て、想像以上にポテンシャルが高いなと思っています。自腹で安くない金を払ってくる選手にはそれなりの覚悟がいると思います。プロテストでよく見るような冷やかしで来る人はいません。意識が高い選手が揃っています」

【次ページ】 200cm“エリート左腕”今西の挑戦

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今井脩斗

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