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「ドラフト指名を狙いたい」東京六大学の元三冠王や“200cmエリート左腕”も…“冷やかし皆無”なジャパンウィンターリーグが面白い 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2022/12/16 11:01

「ドラフト指名を狙いたい」東京六大学の元三冠王や“200cmエリート左腕”も…“冷やかし皆無”なジャパンウィンターリーグが面白い<Number Web> photograph by Kou Hiroo

晩秋から1カ月間にわたって行われたジャパンウィンターリーグでは、様々な選手が奮闘していたようだ

 リーグ戦の開幕は11月26日だったが、24、25の2日間は選手の体力測定やブルペンでの投球、打撃練習などが行われた。大野氏はブルペンで投球を見つめたかと思うと、打撃練習の投手も務めた。

 イチロー世代、来年には50歳になるが、少年野球の指導者として体を動かしているから、現場でも動くことができるのだ。

「ほとんど毎日試合をするというのは、アマチュア選手は経験したことがありません。プロ野球で活躍するには体力、気力が必要ですが、それを実感してほしい。怪我をしないように気を付けて完走してほしいですね。

 その上で、選手たちに『来てよかった』と思ってもらうのが最低限のマストです。会場にはNPBや独立リーグのスカウトも来ていますし、試合はYouTubeですべて配信しています。ドラフト指名されるのは簡単ではないでしょうが、ポテンシャルを出し尽くしてほしいですね」

200cm“エリート左腕”今西の挑戦

 筆者は半年前からこの企画を追いかけているが、率直に言ってレベルの高い選手がどれだけ集まるか、半信半疑の思いだった。しかしふたを開けてみると、スカウトが注目するような選手も参加した。トヨタ、Honda、東京ガスなどの社会人野球が若手選手の実戦の舞台としてウィンターリーグに選手を派遣したからだ。彼らは「出張扱い」でリーグ戦に参加している。

 開幕戦で先発のマウンドに上がったのはHondaの今西拓弥。身長200cm87kgの群を抜く長身左腕投手。広陵高-早稲田大というエリートだ。

「リリーフが多いので、先発の経験はあまりありません。四死球が多い、という社会人野球に入ってからの弱点を克服したいですね。まっすぐでファウルを取ることを意識したり、考えて投げることができました。社会人チームと異なり、いろんなところで野球をしている人が来ているので、意見交換できるのがいいですね。

 それに社会人の試合では、結果を第一に求められますが、ここではいろんなことを試すことができます。事前のラプソードなどの計測データでは、他の選手とは違う数値が出ていました。身長を活かした誰にもない角度の投球ができればと思います。

 スカウトの方も来ておられますが、それを意識するのではなく、自分の課題をつぶすことを第一に考えます。それができればチャンスは広がるのではないでしょうか。チームからは『レベルアップして帰ってこい』と言われました」

「ドラフト指名をぜひ狙いたい」選手の名前は…

 大会前には選手のパーソナルデータの各種測定が行われたが、プルダウン(助走をつけてネットに投げ込み球速を計測)で、161km/hというずば抜けた数値を出したのが、トヨタの坂巻尚哉だ。

【次ページ】 国際色も豊かな参加者の中で

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