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ノムさん「イチロー封じ?終わったから言っていいでしょう」、山田久志「辞表を覚悟して…」ヤクvsオリ日本シリーズは今も昔もアツい 

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posted2022/10/27 17:02

ノムさん「イチロー封じ?終わったから言っていいでしょう」、山田久志「辞表を覚悟して…」ヤクvsオリ日本シリーズは今も昔もアツい<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1995年日本シリーズを前にした仰木彬監督と野村克也監督

 当時投手コーチだった角盈男は「いろいろ調べてみて分かったのは、欠点がない」と語っていた。卓越したイチローの打撃を認めたうえで、野村監督らはこのような賭けに出たのだ。

「僕がバッテリー・ミーティングで『俺はテレビへどんどん出て、とにかくイチローはインコースへの速い球でいくしかない、とバンバン言いふらすから』って言ったら、古田も『お願いします』と(笑)。これも一つの戦術として使ってみたんですよ。やらないよりはいいと思いますからね」

 この“情報戦”はイチローの心に「インハイ」を印象づけ、結果的に功を奏した。さらに野村監督は徹底した守備シフト、さらに出塁してきた場合を想定して、投手陣のクイックモーションを徹底。とにかくイチローのすべてをケアした結果、ヤクルトは4勝1敗でこのシリーズを制した。

 ただしイチローは第5戦で内角高めのストレートをホームランにするなど2安打1四球をマーク。この試合でシリーズの決着はついてヤクルトに軍配が上がったが、短期決戦の中で対応し始めていたのもさすがと言えるだろう。

高津監督にも“ノムラの教え”は受け継がれている?

<名言4>
高校野球のように、楽しそうにやってくれればいいと思っている。
(高津臣吾/Number1041号 2021年12月2日発売)

◇解説◇
 2021年の日本シリーズは激闘の連続だった。1点差の接戦にシーソーゲームが相次いだことで、日本シリーズ史に残る“神回”として評されている。ヤクルトとオリックス両軍ともにチャンスに沸き、ガッツポーズを見せる様子は、高津監督が表現するように高校野球のような熱さを感じさせる。

 その一方で短期決戦に臨むにあたって、ヤクルト首脳陣は冷静に戦略を練っていた。相手打線について“どこで分断すべき”かを考えていたことを、こう明かしている。

「チームの主砲である吉田正尚選手であったり、杉本(裕太郎)選手を乗せないことが大切。シリーズを通じて、誰かのところで打線が切れる状況を作るのが基本的なセオリーです」

 イチローについて徹底警戒を敷いた野村監督とリンクする考えだ。これをリード面で具現化した捕手の中村悠平が、日本シリーズMVPに輝いたのも納得できる。さらに2年連続となった今年の日本シリーズでも、長打力と確実性を兼備する吉田正に出塁こそ許しても、長打は許さない配球を徹底している。

 その一方でオリックスも、杉本がことごとくチャンスで打席が回る中で快音が聞かれず苦しんできたが――26日の第4戦ではこの日両チーム唯一となるタイムリーヒットを放ち、勝利に導いた。21年と合わせるとここまでのトータル10戦中6試合が1点差、2試合が2点差、1試合が引き分けという超僅差の激闘で、両指揮官を筆頭とした首脳陣はどのような采配、決断を下すのだろうか。

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