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2日でクローザーを2人失い…それでもオリックスのリリーフ陣が最強であるワケ「答え」を決めない中嶋監督流のゲームプランとは?
posted2022/10/27 14:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
日本シリーズ第4戦は2敗1分けで迎えたオリックスが、3回に杉本裕太郎外野手のタイムリーで挙げた1点を守ってシリーズ初勝利。虎の子の1点を守り切った白星の立役者は、シーズン中から最強を誇ったリリーフ陣の奮闘だった。
立ち上がりからピンチの連続を、粘りの投球で何とか凌いでヤクルト打線を0点に抑え込んできたオリックス先発の山岡泰輔投手。その右腕に中嶋聡監督が見切りをつけたのは1点リードの5回だった。
「シーズン中も球数が70球を超えたあたりから球が浮き始める傾向がある」
指揮官が指摘したジャスト70球目。真っ直ぐをヤクルト・塩見泰隆外野手に中越え三塁打されると、迷うことなく動いた。
予定より早い宇田川の緊急登板
送り出した2番手は7月に育成契約から支配下選手登録された豪球右腕の宇田川優希投手だった。
予定を早めた緊急登板だったことは本人のコメントが証明する。
「走者が出てから(肩を)作り始めてすぐだったので、考える間もなくマウンドに上がった。本当に自分の投球だけ。それだけでした。焦らずに投げられたのが良かった」
それでも外野フライも許されないシチュエーションから、まず2番の山崎晃大朗外野手をフォークで空振り三振。さらに続く山田哲人内野手も150㎞台のストレート2球で追い込む。そしてカウント1―2から決め球・フォークをストライクゾーンに落とし、見逃し三振に切ってとってピンチを切り抜けた。
続く6回も回またぎでマウンドに立つと、2つの四球と暴投もあり1死一、三塁のピンチを招いたものの、そこからパワーピッチを炸裂させた。