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仙台育英・須江監督「求めすぎるとチームのストレスに」新チーム始動→2週間後に大会…それでも“センバツ当確”できた理由
posted2022/10/23 08:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Genki Taguchi
「みなさんは、『秋も仙台育英が勝つ』みたいに言ってくれますけど、僕はそう思ってませんから。甘くないです、高校野球は」
仙台育英の監督、須江航の言葉には確信めいた響きがあった。予測ではなく予言。それくらいの断定口調だった。
この見立てから遡ること約1週間前の8月22日。須江は仙台育英を率い、東北勢で初の全国制覇へと導いた。
優勝メンバーには現キャプテンの山田脩也をはじめ、野手だけで5人の2年生がスタメンに名を連ねており、投手陣も高橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔と、夏を沸かせた140キロ“クインテット”のうち3人が残る。ベンチ入りメンバーのおよそ半数が下級生とあっては、「秋もぶっちぎりで東北を勝ち抜くだろう」と論じられるのは、むしろ当然だ。
的中した甲子園優勝直後の「予言」
結果から述べれば、仙台育英は秋の東北大会を制した。ただし、「ぶっちぎり」で勝ったわけではない。どちらかといえば、薄氷を踏む勝利ばかりだった。
まず、県大会では決勝で東北に1-2で敗れている。東北大会でも初戦の青森山田戦で2-1。準々決勝の鶴岡東戦は3-0。準決勝の能代松陽戦は2-1。リベンジマッチとなった東北との決勝戦も6-3と、全て接戦だった。
「東北大会はできすぎです」
須江の予言が的中したことになるし、何より、この驚きこそが本心だった。
チームとは生き物だ。豪華なタレントを揃えているといっても、メンバー構成が変われば野球も変わる。仙台育英は夏、全国の高校のなかで最後まで試合をした。さらには、大会後に体調不良者が複数出たため新チームの始動は9月3日。県大会の初戦が19日だった。万全な状態で大会に臨むには時間が足りなかったのである。