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野球クロスロードBACK NUMBER
仙台育英・須江監督「求めすぎるとチームのストレスに」新チーム始動→2週間後に大会…それでも“センバツ当確”できた理由
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2022/10/23 08:00
仙台育英・須江航監督。夏の甲子園、東北勢初の優勝から約2カ月後、新チームで東北大会を制覇した
「弟気質」の新チーム…主将が語る現在地
秋の大会を迎えるにあたって、須江は「メンバー選びも守備重視にした」という。そして、「試合をしながら強くなっていこう」と号令をかけ、新チームをスタートさせた。
県大会では東北に敗れたことも、チームの目を覚まさせるには絶好の結果だったと、監督は受け止めるように言っていた。
「『本当の意味での秋が始まった』と言いますか。夏にいい経験をさせてもらいましたけど、負けでしか得られないものもありますから。あそこから、選手たちは『もう先輩はいないんだ』と強く感じたと思います」
須江いわく、今のチームは“弟s”だそうだ。日本一となったチームでキャプテンを務めた佐藤悠斗やエースの古川翼など、3年生は兄貴肌の選手が多く、2年生は先輩の背中を追うことで輝けた。それは単なる気質だけでなく、実際に弟が多い世代だそうだ。
自身も4人兄弟の末っ子だというキャプテンの山田は、「だから前に出る人も少ないんですけどね」と笑いながら、自分に言い聞かせるようにチームの課題に言及する。
「一人ひとり『自分がリーダーだ』と思わないと厳しい試合で勝ちきれないこともあるんですけど、プレー面だとそれだけではダメで。県大会は特にそうだったんですけど、後ろのバッターに繋ぐ意識が足りなくて、みんなが点を決めに行き過ぎたところがありました。そうするとサインプレーだったり、1球の精度が落ちてしまうので、もっと繋ぎ切れるようにしていかないとダメだと思っています」
県大会後から東北大会までの間に、3点ビハインドの最終回を想定したシートバッティングに時間を割いてきた。それが、東北大会でも生かされたことになる。須江も「チームに守れる算段が付いた」とし、決勝で打力の高い下山健太をスタメンで起用するなど、チーム力が上がってきたことを示唆してもいた。