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「個人のパフォーマンスが重要だ」ベンゼマかマネか、基準が大きく変わったバロンドールの受賞者は?「だがモドリッチを忘れてはならない」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/10/15 17:03
ベンゼマ(右)とマネ(左)。フェレ編集長は明言を避けたが、バロンドールの有力な受賞候補者だ
今回の本命はベンゼマ、マネ…それとも?
――それでは客観的に見て、今回の本命はカリム・ベンゼマとマネと言えますか?
PF 本命というのがどういう意味なのかよくわからない。われわれが行っているのは投票による選出だ。だから本命といっても……。
たしかに他の候補者よりも可能性が高いものたちがいる。マネはリバプールで素晴らしいシーズンを送ったばかりか、セネガル代表でも活躍した。アフリカ・ネーションズカップ優勝に加えてワールドカップ出場も果たした。類まれであるといえる。
だが他にも並外れたシーズンを過ごした選手はいる。ティボウ・クルトワはベンゼマとともにレアル・マドリーで素晴らしいシーズンを実現したし、ムバッペもそうだ。ロベルト・レバンドフスキはちょっと影が薄くなったが、それでも素晴らしいシーズンであったのは間違いない。モハメド・サラーもそうだ。
だから君の質問は感覚的なもので、投票者がそれぞれに判断するべきものだ。だが、恐らく受賞者は、今名前を挙げた6人の中から生まれるだろう。そうでない場合は大きな驚きだ。
――メッシがリストから外れ、クリスティアーノ・ロナウドも有力候補といえない時期を迎え、バロンドールは新しい時代に入ったと言えるのでしょうか?
PF だがルカ・モドリッチを忘れてはならない。彼はすでに1度受賞しているが、レアル・マドリーとクロアチア代表で素晴らしい活躍を見せた。現在37歳になるが、能力の衰えをまったく感じさせない。それからクリスティアーノ・ロナウドも、統計的な数字は以前より低くはなったが、マンチェスター・ユナイテッドでは真のリーダーとして力を発揮している。昨季は30人のリストから漏れたメッシとの差を縮めたといえる。
――新たな規則では決定的な痕跡(印象的なパフォーマンス)を残すことが重要なポイントになるのですね。
PF 以前は大きな判断基準がふたつあった。個人のパフォーマンスとコレクティブなパフォーマンスだ。だが今回からは、個人のパフォーマンスが優先される。バロンドールは個人表彰であるから、個人としてのパフォーマンスが何よりも重要であるからだ。つまり世界最高の選手は、必ずしも世界最高のチームに所属する必要はない。もちろんチームタイトルの獲得が影響するのも間違いないが、個人の価値と個人のパフォーマンスがコレクティブなパフォーマンスよりも重要であることは改めて強調したい。
――その具体的なものが、個人の決定的な痕跡であるわけですね。
PF その通りで、シーズンを通してチームを勝利に導いた選手、素晴らしいゴールを決めた選手、スペクタクルなプレーを続けた選手だ。ゴールや決定的な仕事は最重要なポイントだが、ヨーロッパチャンピオンになれなくとも構わない。必ずしも多くのタイトルを獲得する必要もない。チームのなかでどれだけのパフォーマンスを実現したかが問われるわけだ。
――よくわかりました。
<#3に続く>