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「個人のパフォーマンスが重要だ」ベンゼマかマネか、基準が大きく変わったバロンドールの受賞者は?「だがモドリッチを忘れてはならない」
posted2022/10/15 17:03
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
『フランス・フットボール』誌(以下FF誌)は、8月13日発売号で2021~22年シーズンのバロンドール候補者30人を発表した(同時に女子バロンドール候補者20人と最優秀ゴールキーパー賞であるヤシントロフィー候補者10人、最優秀若手賞(21歳以下)であるコパトロフィー候補者10人も併せて発表)。
最大の驚きは、昨年の受賞者であり史上最多の7度受賞を誇るリオネル・メッシがリストから外れたことだった。他方で13人が、初めて30人の候補者に加わっている。2021年は15人、2019年(2020年は表彰なし)は14人である。これはひとつの時代の終焉と、新しい時代の始まりを意味しているのだろうか。ならば今年は、黄金のボールは誰の手にもたらされるのだろうか……。パスカル・フェレ編集長の話は続く。(全3回の2回目/#1、#3へ)
バロンドール候補者リストの定義とは
――今季バロンドール候補の30人が発表されましたが、FF誌編集長としてあなたはこのリストをどう見ていますか?
パスカル・フェレ(以下PF) どの年も最も適切なリストを提供してきたという自負はある。最も批判の少ないリストだ。そのためにFF編集部のすべてのジャーナリストが参加したし、今年は投票委員の中から優秀者を選んでリスト作成に参加してもらった。ベトナムの通信員だ。それからディディエ・ドログバも加わった。作成にかかわったのは10数人で、すべてにおいて全会一致というわけではなかったが、ミーティングを重ねながらこのリストを完成させるに至った。
話題になっているのは、リストから漏れた選手
発表後に話題になっているのは候補に挙げられた選手たちではなく、リストから漏れた選手——リオネル・メッシだ。
――昨年の受賞者でもあります。
PF その通りだが、前年の受賞者が候補に挙がらなかったというのであれば、2018年の受賞者であるルカ・モドリッチもそうだった。2019年に彼はリストから漏れている。そんな例はたくさんある。
客観的に見たとき、メッシの2021~22年シーズンは良くはなかった。断罪するわけではないが、世界最高の30人の中に入るに値しなかった。得点もアシストも少なく、さして印象深くもない。それまで彼が見せてきたレベルからは程遠く、今現在のレベルと比較しても低調だった。
メッシ自身がバロンドールの選出基準を十分にわかっているはずだ。過去に7度受賞し13回トップ3に入ったからといって、それは何の保証にもならない。求められるのはシーズンを通しての活躍だ。これまでの彼は、それを存分に見せつけてきた。