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大谷翔平の2022二刀流成績詳細「サイ・ヤング賞級の奪三振率+破天荒なW規定」は例年なら文句なしMVPも「ジャッジとの争い」では…
posted2022/10/12 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
大谷翔平の2022年が終わった。昨年に続いて多くのファンの期待感の「斜め上」をいく活躍だった。
筆者は4月に今年の成績を予想した。それと今シーズンの最終成績を比較しよう。2021年の成績も付ける。
「二刀流投手」としてのローテ維持は驚異的
<投手成績>
前年:23登9勝2敗130.1回15被本44与四156奪三 率3.18
予想:27登15勝3敗172回22被本22与四179奪三 率2.85
結果:28登15勝9敗166回14被本44与四219奪三 率2.33
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負け星と与四球は予想より多かったものの、それ以外の成績は予想以上だった。初めて規定投球回数をクリアし、投球数は前年の2027球から2629球と602球増えた。
勝利数は4位タイ、防御率は4位、奪三振数は3位。奪三振率11.87は1位と、リーグ屈指の成績を残した。昨年後半から投手・大谷は安定感が増していたが、今年も引き続き抜群の安定感だった。
月間成績を見ていこう。
4月:4登2勝2敗19.1回2被本5与四30奪三 率4.19
5月:4登1勝1敗25.0回3被本5与四33奪三 率2.88
6月:5登4勝1敗29.2回3被本7与四38奪三 率1.52
7月:4登2勝2敗25.1回3被本6与四44奪三 率3.20
8月:5登2勝2敗28.2回3被本10与四31奪三 率2.20
9、10月:6登4勝1敗38.0回0被本10与四37奪三 率1.18
4月7日に初めてマウンドに上がってから、最も登板間隔が開いたのはオールスター戦を挟んだ中8日。後半戦は中5、6日で投げた。普通の先発投手より間隔は広いが「二刀流」でローテを維持したのは驚異的だ。
7月までは投球回数を大幅に上回る奪三振数だったが、8月以降は奪三振ペースが減っている。その一方で防御率は良くなっている。この時期、大谷は2シームと縦横2種類のスライダーを多投するようになった。与四球がやや増えたのは多投の影響があるのかもしれないが、打たせて取ることが増えて投球はさらに安定した。
シーズン中に投球スタイルを変えたことも驚きだった。大谷を研究していた各打者も対応できなかったのではないか。
本塁打が減っても殊勲打が増えて打点はほぼキープ
<打撃成績>
前年:158試537打138安46本100点26盗96四 率.257
予想:150試506打135安35本79点30盗120四 率.267
結果:157試586打160安34本95点11盗72四 率.273
今季からナ・リーグもDH制を導入したので「リアル二刀流」は実質的になくなり、打席数が減る恐れがあった。しかしMLBは投手が降板後、DHとして打線に残れるようにルールを変更。さしあたっては大谷翔平以外に適用される選手はいないので「オオタニルール」と呼ばれる。これで大谷はマウンドを降りても打席に立てるようになった。
今季は、相手投手のマークがさらに厳しくなるので本塁打数は前年より減少すると予想したが、ほぼその通りになった。