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大谷翔平の2022二刀流成績詳細「サイ・ヤング賞級の奪三振率+破天荒なW規定」は例年なら文句なしMVPも「ジャッジとの争い」では…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2022/10/12 06:00
投打両面で一流の成績を残した大谷翔平。ジャッジとの“MVP論争”も起きたシーズンだった
<fWAR>
1 A.ジャッジ(ヤンキース)11.4 /157試570打177安62本131点16盗 率.311
2 J.アルトゥーべ(アストロズ)6.6 /141試527打158安28本57点18盗 率.300
3 Y.アルバレス(アストロズ)6.6 /135試470打144安37本97点1盗 率.306
4 A.ギメネス(ガーディアンズ)6.1 /146試491打146安17本69点20盗 率.297
4 X.ボガーツ(レッドソックス)6.1/150試557打171安15本73点8盗 率.307
7 M.トラウト(エンゼルス)6.0 /119試438打124安40本80点1盗 率.283
26 大谷翔平(エンゼルス)3.8 /157試586打160安34本95点11盗 率.273
<rWAR>
1 A.ジャッジ(ヤンキース)10.6 /157試570打177安62本131点16盗 率.311
2 A.ギメネス(ガーディアンズ)7.2 /146試491打146安17本69点20盗 率.297
3 Y.アルバレス(アストロズ)6.8 /135試470打144安37本97点1盗 率.306
4 M.トラウト(エンゼルス)6.3 /119試438打124安40本80点1盗 率.283
5 J.ロドリゲス(マリナーズ)6.0/132試511打145安28本75点25盗 率.284
37 大谷翔平(エンゼルス)3.4 /157試586打160安34本95点11盗 率.273
両サイトでアーロン・ジャッジが群を抜いている。
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一方の大谷翔平はfWARでは26位、rWARでは37位、今季43試合も休場した同僚のマイク・トラウトよりも低い。今季の大谷は本塁打が46本→34本、四球が96→72と減少していて、これが大きかった。
大谷には加味されない「守備ポイント」の存在
もう一つ、大谷は他の打者には加味される「守備ポイント」がない。DH専業で投手以外では守備に就かなかったからだ。内野手のギメネスやアルトゥーべ、ボガーツが上位に来ているのは、守備ポイントが大きい。
では最後に、投手・野手を含めた総合のWARのランキングではどうなるか?
<fWAR>
1 A.ジャッジ(ヤンキース)11.4 /外野手
2 大谷翔平(エンゼルス)9.5 /二刀流
3 J.アルトゥーべ(アストロズ)6.6 /内野手
4 Y.アルバレス(アストロズ)6.6 /DH/外野手
5 A.ギメネス(ガーディアンズ)6.1 /内野手
<rWAR>
1 A.ジャッジ(ヤンキース)10.6 /外野手
2 大谷翔平(エンゼルス)9.6 /二刀流
3 A.ギメネス(ガーディアンズ)7.2 /内野手
4 Y.アルバレス(アストロズ)6.8 /DH/外野手
5 D.シーズ(ホワイトソックス6.4 /投手
WARが9点を超えれば、例年なら文句なしのMVPではあるが――今季はジャッジがその上にいる。
ジャッジの62本塁打はア・リーグ記録。ナ・リーグにはバリー・ボンズの73本を筆頭に、マーク・マグワイア、サミー・ソーサがジャッジの上にいてMLB通算では7位だが、この3選手はその後薬物使用が発覚した。ジャッジは薬物と無関係な「オーガニックな打者」としては史上最多の本塁打を打った。
大谷翔平もすごいが、記録に加えて歴史的な意義も加味して、今年のMVPはヤンキースのジャッジだろうと思う。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。