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巨人“2度のメークV”や大谷翔平の日本ハムを上回るか「ハマスタ17連勝で17.5差→4差」ベイスターズが挑む“史上最大の逆転優勝”
posted2022/08/23 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
ひょっとすると、と多くのファンが思い始めているのではないだろうか?
あれほど強かったヤクルトが急失速し、2位DeNAに大逆転でのリーグ優勝の可能性が出てきた。
今季のヤクルトは、村上宗隆という圧倒的な中軸打者に、リードオフマン塩見泰隆、さらにマクガフ、清水昇、田口麗斗と優秀な救援投手陣を擁し、5月、6月と圧倒的な強さを見せた。高津臣吾監督の「采配の妙」も光っていた。
7月4日時点と8月21日時点での順位を比べてみよう。
<2022年セ・リーグ>
・7月4日
ヤクルト 52勝24敗1分 率.684 差 ‐
巨人 41勝40敗0分 率.506 差 13.5
広島 37勝39敗3分 率.487 差 15.0
阪神 36勝42敗2分 率.462 差 17.0
DeNA33勝40敗0分 率.452 差 17.5
中日 32勝44敗2分 率.421 差 19.5
7月2日にはヤクルトに史上最速でマジック53が点灯した。2位と13.5差、DeNAとは実に17.5差。それが、わずか7週間で、こうなったのだ。
・8月21日
ヤクルト 63勝46敗1分 率.578 差 ‐
DeNA56勝47敗2分 率.544 差 4.0
阪神 56勝57敗2分 率.496 差 9.0
広島 53勝59敗3分 率.473 差 11.5
巨人 53勝60敗1分 率.469 差 12.0
中日 49勝59敗1分 率.454 差 13.5
ヤクルトは7月9、10日に新型コロナの集団感染で山田哲人、塩見、中村悠平ら主力が離脱。高津監督も感染し、阪神戦が3試合中止となる。復帰後、5連敗。以後も調子が上がらず、貯金を減らし続けた。7月5日以後は11勝22敗、勝率.333。
この間にDeNAが急激に追い上げた。6月28日の阪神戦以降、本拠地ハマスタで17連勝(1分けを挟む)。この間ロードでは10勝9敗1分けだから——内弁慶ではあるが——あっという間にヤクルトの背中が見えてきた。
17.5差をひっくり返したら史上最大の逆転優勝に
最大17.5差からの逆転優勝となれば「史上最大」である。過去、最大の逆転劇は1963年のパ・リーグだった。
<1963年 パ・リーグ>
・7月7日
南海48勝21敗0分率.696 差 ‐
東映40勝32敗1分率.556 差 9.5
近鉄34勝34敗3分率.513 差 13.5
西鉄29勝31敗1分率.483 差 14.5
西鉄はこの時点で2戦の負け越し。プレイングマネージャーになった中西太がフル出場できず、豊田泰光も前年、国鉄に移籍し、打線が衰えた西鉄は、シーズンをあきらめたかと思えたが、
・10月20日
西鉄86勝60敗4分率.589 差 ‐ 優勝
南海85勝61敗4分率.582 差 1.0
東映76勝71敗3分率.517 差 10.5
近鉄74勝73敗3分率.503 差 12.5
西鉄は10月に13勝3敗1分と驚異的な追い上げ、シーズン最終日に南海をとらえて1.0差で追い抜く。両チームの勝敗が並んだ場合に備え、パ連盟はプレーオフの準備もしていた。稲尾和久が28勝で最多勝、MVPは当時新記録の52本塁打を打った南海・野村克也だった。
巨人「メークドラマ」と「メークレジェンド」は?
セ・リーグでは巨人・長嶋茂雄監督の「メークドラマ」が流行語大賞になった1996年の逆転劇が有名だ。