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甲子園の風BACK NUMBER
センバツ8強入りの“大阪桐蔭キラー”、11年前の再現を狙う元プロ監督…現地ライターが推す“激戦区・大阪”の注目すべき4校
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2022/07/15 17:03
大阪電通大高のエース右腕・的場吏玖(りく/ 3年)。敗れたものの、春季大会では強打の大阪桐蔭打線を8回4安打を抑える好投をみせた
センバツ8強の大阪桐蔭キラー
以前から“大阪桐蔭キラー”と囁かれるのが、今春のセンバツで8強まで勝ち進んだ金光大阪だ。
2007年夏に中田翔(巨人)を擁した大阪桐蔭を決勝で破って夏の甲子園に出場したことは有名だが、実は19年夏にも準々決勝で延長14回タイブレークの末、宿敵を破っている。昨夏の大阪大会も8回裏までリードしながら、最後は逆転打を浴びて涙を飲んだ。
この春のセンバツでは2勝を挙げて新たな歴史を刻んだが、春季大会では5回戦で大商大堺を前にコールド負け。甲子園から戻ってからはやや元気がなさそうに見えたが、夏に向けてエースの古川温生(3年)が復調の兆しを見せ、打線にも活気が戻りつつある。
横井一裕監督は春季大会で敗退後、大阪桐蔭の準決勝と決勝を現地で観戦したという。その際、ずっと目で追っていたのが大阪桐蔭の正捕手・松尾の一挙一動だった。
履正社との決勝戦。3回表に履正社に2点を先制されるも、直後の3回裏に1死走者なしから左翼に追撃のソロアーチを放った。その場面の直後、横井監督はこう唸っていた。
「2点を先制されて、履正社のペースになりそうなところであの1点。これで流れが五分五分になりましたよね。ああいうところで打てるのが松尾君の凄さ。ああいう状況で松尾君に打席が回ってくる時は要注意です」
これは履正社の多田晃監督もポイントに挙げていた1本だ。大阪桐蔭の強さを象徴するシーンだと言っていい。
「負け」を知った大阪桐蔭は強い
横井監督は続けて、大阪桐蔭が公式戦連勝が「29」でストップした近畿大会での敗戦についても言及する。
「こういう言い方は違うかもしれませんが、大阪桐蔭さんが近畿大会の決勝で智弁和歌山さんに負けたことは、一番いいタイミングの“負け”だったんじゃないですかね。逆にこれでチームの結束がさらに強くなると思いますし、夏こそはやってやろうとさらにパワーアップするんじゃないでしょうか。ただ、ウチからすれば厄介ですが(苦笑)」
それでも、大阪桐蔭と予選で対戦することは「大阪のチームの特権」だと話す。大阪大会は4回戦以降に2度の抽選が行われるため、金光大阪がどのタイミングで対戦することになるのか、まだ分からない。まずは着実に勝ち進むために、目の前の一戦一戦に集中していくつもりだ。