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甲子園の風BACK NUMBER
センバツ8強入りの“大阪桐蔭キラー”、11年前の再現を狙う元プロ監督…現地ライターが推す“激戦区・大阪”の注目すべき4校
posted2022/07/15 17:03
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
大阪大会を賑わすのは絶対王者の大阪桐蔭、そしてそれに続く履正社だけではない。
まず紹介したいのは、エース右腕の的場吏玖(3年)を擁する大阪電通大高だ。春季大会5回戦の大阪桐蔭戦では、初回に松尾汐恩(3年)に2ランを浴びて失点したものの、2回から8回で降板するまでに、強力打線をわずか4安打に封じこめ、絶対王者を苦しめた。
本格的に投手を始めたのは中学2年生から。両親がバレーボール経験者だったこともあり、抜きん出た身体能力を持つ的場は、細身ながら長いリーチから放たれるストレートは威力抜群。キレのあるスライダーもコーナーにきっちり投げ分けられる。同大会4回戦の関大北陽戦では20奪三振をマークしており、さらに無四球という制球力も光った。
物怖じしないマウンドさばきを見せた的場を、岡野穂高監督はこう評する。
「的場の課題は立ち上がり。あの試合(大阪桐蔭戦)も初回から腕が振れず、2番の星子(天真)君に四球を与えてしまって、その後に浮いたスライダーを松尾君にホームランにされました。ただ、そこから反対に開き直って投げられたのが良かったです。
まだまだな部分はありますが、あの日のピッチングが大きく取り上げられても本人はいたって浮ついた様子は見せません。練習にも意欲的に取り組んでいて、以前は135キロ前後だったストレートのスピードのアベレージが、最近は141キロくらいまで上がってくるようになりました」
エース的場を援護する打線がカギ
何より、春の時点で大阪桐蔭と対戦できたことが大きな財産になったと続ける。
「大阪では5月下旬に私学大会があるのですが、春季大会で対戦した3週間後くらいにまた大阪桐蔭さんと対戦したんです。その時も3−4で負けてしまったのですが、立て続けに対戦できたことは大きな経験になります。そこで一番感じた力の差は攻撃力です。的場が2、3点に抑えられたとしても、4、5点以上を取れる打線を作らないといけない。そのために今は打撃練習にかなり力を入れています。夏は打撃で的場を援護していかなくてはと思っています」
大阪電通大高は昨夏の大阪大会でも8強に進出。19年夏には全国制覇を果たした履正社と4回戦で対戦して1−2まで追い詰めるなど、近年は激戦区・大阪のダークホース的な地位に立つ。好投手・的場を中心に今夏も台風の目となりそうだ。