春辞退の近大附は好投手そろう

　そして、最後はいまだベールに包まれている近大附を紹介したい。

　春季大会は部内で新型コロナウイルスの感染者が出たために大会途中で辞退となったが、実は最速145キロのストレートを誇るエース左腕・西平晴人（3年）や、最速147のストレートを武器とする右腕・前田尚哉（3年）、185cmの長身から最速145キロの角度のあるストレートを投げ込む大木灯斗（3年）らを中心に投手陣の層が厚い。6月末に近江（滋賀）との練習試合でマウンドに立った西平は、145キロのストレートでセンバツ準Vの各打者を翻ろうした。

　打線では、前チームからレギュラーを務めた遊撃手・日和佐洵音（3年）や、小柄ながらパンチ力のある家入丞（3年）ら楽しみな素材も多く、投打共に能力の高い選手をそろえている。

　ただ、藤本博国監督はある懸念を抱いているという。

「春に公式戦の緊張感のあるゲームを経験していないでしょう。春季大会とはいえ、その差は大きいです。練習試合では分からない“この1球でどうなるか”みたいな流れを感じられていない影響がどう出るかですね。ここでこのプレーが出たらどうなるか、というのが分からないのが不安ではあります。5月中旬の強化練習期間に、その脆さをすごく感じたんです。感じられたとしても、じゃあ次はどうすればいいのか、というところまで持っていけていない。公式戦に強いチームは、そういう状況になってもその空気を楽しめるんです。ウチにはまだそれが備わっていないので、本番までにどう持っていけるかですね」

　ただ、前出の3人以外にも、サイドスロー右腕の山本誠貴（3年）、緩急を上手く使う左腕の杉原大斗（3人）ら計算できる投手も台頭。「近年にないほど投手陣がここまで伸びてきてくれた」と藤本監督は手応えを口にしている。下級生にも伸び盛りな投手がいるのだが、あえて今夏はベンチには入れなかったほど、今年の近大附は投手陣が充実しているのだ。

　激しくも熱い大阪の夏は、これからいよいよ本格化する。

＜#1/履正社編からつづく＞

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