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イチローに質問「打てない時の練習法ってありますか?」あの特別指導は高松商をどう変えた? “怪物スラッガー”浅野翔吾「恩返ししたい」

posted2022/07/17 06:01

 
イチローに質問「打てない時の練習法ってありますか?」あの特別指導は高松商をどう変えた? “怪物スラッガー”浅野翔吾「恩返ししたい」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

昨年12月、イチローが特別指導を行った香川・高松商。あの日の教えを胸に、夏の県予選に挑む

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Kiichi Matsumoto

全国各地で繰り広げられている高校野球、夏の地方大会。休止を挟んで3大会連続の夏の甲子園出場を目指す高松商業(香川)では、昨年12月、思わぬ形でイチローによる特別指導が実現した。イチローが称賛した“雰囲気の良さ”はそのまま、更なる成長を遂げたチームが臨む夏。これまで有料公開していたSports Graphic Number1049号(2022年4月14日発売)[イチロー指導校探訪(3)]高松商業「夢の時間が育んだ“覚悟”」を特別に無料公開します(肩書きは全て当時のまま)。

 練習中に降り出した雨を切り裂くように、打球がライトの遥か上を越えていく。防球ネットをものともしない130m弾は、どすんと音をたて、校舎の外の道路に消えた。

「ヤバい? 車に当たってない?」

 ご近所の“被害”を心配した長尾健司監督は思わず頭を抱える。一方で打球の主であるキャプテンの浅野翔吾は、実に涼しげな顔だ。高校通算44本塁打、プロ注目の怪物スラッガー。昨冬からスイッチヒッターに転向して取り組む左打席で放ったフリー打撃の快音に、思わず頬がゆるんだ。

「浅野には全力で打たせちゃダメ。ネットを高くしても効果ない。隣の中学校の屋根に当てちゃったこともあるんだから」

 長尾監督はボヤくが、こればかりは仕方ない。何しろベンチのホワイトボードにはこんな言葉が大書きしてあるのだ。

「イチロー流とは? 常に“全力”の中で、形を作る!」

 創部113年の名門、高松商業に夢の時間が訪れたのは、長尾監督の“爆弾発言”がきっかけだった。昨夏の甲子園大会で優勝した智辯和歌山に3回戦で敗れた試合後のリモート会見で思わず口が滑った。

「高松商もイチローさんに来てほしいですよね、と聞かれたので“あったりまえですよ。来たら優勝ですよ!”って……」

 ニュースを見たイチローが興味を持ったことでとんとん拍子に話が進み、昨年12月11日から2日間の臨時指導が実現した。

「聞きたいことがあれば何でも聞いて!」

 スーパースターの言葉を待つまでもなく、選手たちは矢継ぎ早に質問を繰り出した。

同名の球児「奇跡です。父も“夢が叶った”って!」

「お願いがあります! 僕の打席で悪いところを指摘してもらっていいですか?」

 呼びかけたのは新2年生の江西一郎だ。その名前は、父が大ファンだったイチローにちなんで名付けたもの。実は高校進学も一度は憧れの人の出身校を目指していた。

【次ページ】 イチローが残した“金言”、そして…

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