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強豪フランスに敗れるも「愛さずにはいられない」2つのトライ…“1年の遅れ”を取り戻したラグビー日本代表の驚くべき修正能力とは? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/07/12 17:01

強豪フランスに敗れるも「愛さずにはいられない」2つのトライ…“1年の遅れ”を取り戻したラグビー日本代表の驚くべき修正能力とは?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

国立競技場で行われたフランス戦ではFB山中亮平(34歳)が2トライを奪う活躍。惜しくも敗れたが、収穫もある“サマーテスト”だった

 しかし、このふたつのファンタスティックなトライがありながら、日本は勝ちを逃した。

 後半、0点だったのは何を意味するのか?

 個人的には、セットプレーの精度が2019年のW杯ほどに練り込まれていなかったことに帰結するのではないかと思う。

 勝負どころでのノックオンは、ボールが滑りやすいなどの単純な総括になりがちだが、ディテールを追求する時間がなかった結果ではないか。

 パスを出す角度とタイミング、ランナーのスピードと角度、すべてに繊細さが要求される。「たった5週間の合宿」では、そこまで突き詰められないのだろう。

 実は第1テストのあと、記者仲間と名古屋で飲みながら、意見が一致したことがあった。

「コロナ禍の影響で、日本のチーム作りは1年とは言わないまでも、8カ月くらい遅れているのではないか?」

 そうした不安があったのだが、フランスとの第1テストと第2テストの間の驚嘆すべき修正能力を見ると、日本はこの遅れを一気に取り戻したように見える。単に内容云々の話ではなく、日本のスタイルが明確に見えたことが大きい。

 振り返ってみれば、5年前のこの時期はアイルランドにいいところなく連敗、選手たちが「キック主体の戦い方のままで、W杯は大丈夫なのだろうか?」と不安に思っていた時期だ。それに比べれば、ポジティブな要素が多い。

中村亮土も語っていた「選手層の構築」

 そして前回のW杯で残した課題は、「ノックアウトステージ用の選手層構築」だった。

 W杯後、12番の中村亮土はこう話した。

「スコットランド戦に勝って、さあ、次の南アフリカ戦も勝ちにいくぞって、みんなやる気満々でした。ところが、いつもだったら水曜日あたりから疲労が回復してくるのに、コンディションがなかなか上がってこなかったんです。あれ? って感じでした。たぶん、数値には表れない疲労が溜まっていたんだと思います。反対に南アフリカは、準々決勝からが本番じゃないですか。その違いは明確に感じました。2023年に向けては、メンバーを替えつつ、グループステージを全勝で勝ち抜ける選手層の構築が大切だと思います」

【次ページ】 ムーア、ラピース、姫野、流、そして松島

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