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「最初から怖がらなかった」父・松田努が語る、娘・凜日とラグビーの出会い…待望の大型FBに受け継がれる“15番のDNA”とは?

posted2022/08/05 17:01

 
「最初から怖がらなかった」父・松田努が語る、娘・凜日とラグビーの出会い…待望の大型FBに受け継がれる“15番のDNA”とは?<Number Web> photograph by L)JRFU / R)Hideki Sugiyama

5年ぶりの女子ラグビー国内テストマッチで輝きを放った松田凛日(20歳/左)。父・努の代名詞である「15番」を日本代表で初めて背負った

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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L)JRFU / R)Hideki Sugiyama

 10月の女子ラグビーW杯に向けて強化を進める女子15人制ラグビー日本代表。先日は5年ぶりの国内テストマッチとなる南アフリカとの2連戦を行い、本番へ弾みつけた。勝利した第1戦で輝きを放ったのが、日本代表で初めて「15番」を背負った松田凜日(りんか)だった。父は元ラグビー日本代表で活躍した松田努。父が娘の成長を振り返る(全2回の1回目/#2へ)。

 女子のラグビー、初めて見たよ、という人も多かったことだろう。

 7月24日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われたサクラフィフティーンこと女子15人制日本代表と南アフリカ代表の一戦は、女子15人制ラグビーにとって5年ぶりとなる国内でのテストマッチだった。

 感動的な試合だった。体格で上回る南アに対し、日本女子はタックルまたタックルで応戦。何度もゴール前まで攻め込まれながらついにトライを許さず、逆に少ないチャンスに2つのトライに成功。15-6のスコアで快勝を飾ったのだ。

 スタジアムで、あるいはテレビで、この試合を目撃した人の多くが、背番号15の躍動に目を見張ったのではないか。

 相手キックを捕り、スペースを切り裂き、特大ストライドで駆け上がった豪快なカウンターアタック。抜けてきた相手の大型ランナーを次々と止めた猛タックル。味方が倒した相手に素早く走り寄ってボールを奪うジャッカル。そのどれもが80分の間、繰り返され、そのどれもがサクラフィフティーンの勝利には欠かせないパーツとなった。

 無論、ラグビーはチームスポーツだ。まして、サイズに恵まれない日本は15人全員がハードワークを重ねた末にしか勝利はない。誰ひとり欠けても勝利はありえなかった。その大前提を承知した上で、背番号15の存在感は際立っていた。

 フルバック松田凜日(りんか)、170cm75kg。20歳の日体大3年生。

 南ア戦を戦い終えた凜日は、FBでの感想を聞かれて答えた。

「カウンターアタックで思い切り走れたし、スペースがあって、自分にはいいな、FBがいいなと思いました」

 まるで天職を得たような感想だ。

 それも当然かもしれない。松田の父親はラグビーW杯4大会代表、日本代表キャップ43、日本代表の15番を背負い続けたレジェンド・松田努さんなのだ。

女子ラグビー界の救世主に?

「リンカについては、いつFBにするかをずっと考えていました」

 レスリー・マッケンジーHCは松田の起用を、そう説明した。

「リンカは去年の秋、セブンズから15人制に移って、日体大では主にCTBでプレーしていたので、代表でもまずは慣れているCTBやWTBでプレーしてもらいましたが、どこかのタイミングでFBをやらせたいと思っていた。

 4年前だと思いますが、花園で行われたU18東西対抗で、FBでプレーしていたときのリンカのイメージが私には強く残っていて、15番でプレーする彼女を見てみたかった。今回は、試合の中で、気持ちよくプレーする感覚を取り戻して欲しい」

 まるで、待ち望んでいた救世主のような口ぶり。代表1年目の20歳に向けられた言葉とは思えない。裏返せば、フルバック松田凜日はそれだけの、女子ラグビー界期待の大器なのだ。

 その源流は? ここは父・努さんに直接尋ねてみよう。

【次ページ】 小3の頃、東芝のグラウンドに

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