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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「お金にならないと意味がない」元サッカー日本代表・高原直泰43歳は今…沖縄でコーヒー農家になっていた「年間5000杯分が目標です」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNanae Suzuki
posted2022/07/09 11:02
元サッカー日本代表・高原直泰(43歳)。沖縄SVのCEOも務める高原は名護市でコーヒー作りに取り組んでいる
果たして、県産コーヒーにふさわしい品種と環境とはどんなものなのか。最適の答えを見つけるには、実際に栽培をしながらまだまだ何年もの試行錯誤が必要となりそうだ。
「今年の収穫目標はまず5000杯分です。ただ、そこから研究用に回したりすると、クラウドファンディングの返礼に回す分にも十分じゃない。販売するのはもっと先になります」
時間がかかりますねと言うと、高原は深く頷いた。
「最初から数年でどうこうの話じゃないんです。基本的に10年単位のプロジェクトで、その最初の3年が経っただけ。だから、“まだまだ”なんですよ(笑)」
「沖縄に来たら飲める、がいいのかもしれない」
今年5月、高原は昨冬にわずかに収穫できたコーヒーを試飲した。その時は浅煎りで飲んだが、品質や収穫量をさらに高めた先には焙煎具合やナチュラル、ウォッシュドといった精製方法の選択などを考える必要も出てくる。
「その技術こそ最終的に味をどうするかの大事な作業じゃないですか。それも考えないといけない。一度飲んだ限りでは浅煎りが合ってそうでした。せいぜい中浅(煎り)までなのかな」
名護市に加え、新たに提携を結んだうるま市でも耕作放棄地を活用した農場を整備し、焙煎機まで備えたカフェを出店する計画もあるという。
そしてコーヒー栽培を観光、ITと並ぶ沖縄県の産業の柱に育てるという最終目標のため、県内でのコーヒーネットワークの構築も始めた。
「県内に9カ所の協力農場があって、2つの直営農場と合わせた植樹本数がだいたい6500本。単体で成り立っているところもいくつかあるけど、そうでないところの方が多いと思う。うまく協力農家さんとタッグを組んで、僕らのクラブで沖縄のコーヒーの集積所を作れたらいいと思うんです」
生産は各農家で行い、それぞれの農園の豆を独自のブランドとして売り出す。そこからの焙煎、流通と卸売や小売は高原たちが担う。そんな青写真も描いている。
現時点でも「取り扱いが可能ならば」と全国の飲食店や航空会社から取引の打診はある。“国産”や“沖縄”というところには、間違いなくスペシャルな価値が潜んでいるのだ。
「やっぱり国産のコーヒーというのは推しになると思います。ただ、どれだけ外に出せるかは考えますね。逆に観光業と絡めて、沖縄に来たら飲めるというふうにした方がいいのかもしれない」
「なんだかわからないうちにこうなっていた」
国産コーヒーはどうしても割高になるだけに、単純に価格や品質だけで勝負するのではなく、観光資源と結びつけて付加価値をつけた展開をする方が望ましいのは間違いない。