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「選手たちの家族の分も人生背負ってるから…」沖縄でサッカーを続ける“黄金世代”高原直泰43歳、会社社長になって性格も変わった

posted2022/07/09 11:03

 
「選手たちの家族の分も人生背負ってるから…」沖縄でサッカーを続ける“黄金世代”高原直泰43歳、会社社長になって性格も変わった<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

元サッカー日本代表・高原直泰(43歳)。自ら立ち上げた沖縄SVで選手兼監督兼代表を務める

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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Nanae Suzuki

元サッカー日本代表のストライカー、高原直泰(43歳)。79年組=黄金世代と呼ばれた彼は沖縄でクラブを立ち上げ、選手、指導者、そして経営者を兼務する。前編ではいま熱心に取り組むコーヒー栽培の話を聞いたが、ここではサッカーとクラブ経営について話してもらった(全2回の2回目/#1へ)。

◆◆◆

「俺はもう純粋にプレーヤーじゃないんです。自分が選手としてどういうプレーをしたいかっていうのは正直問題ではない。要はチームがどうやったら勝つのかを中心に全部考えないといけないんです」

 元日本代表の高原直泰が選手兼監督兼代表を務める沖縄SV(エス・ファウ)は、現在J1から数えて5番目に当たる地域リーグに在籍している。

 一昨年、昨年と九州リーグを制してJFL昇格を懸けた全国地域チャンピオンズリーグに駒を進めたものの、一次リーグを突破できずに夢は絶たれた。

 この地域CLのグループリーグは集中開催のため、3日連続ゲームという類を見ない連戦を強いられる。負けはもちろん、引き分けすら敗退に繋がりかねない厳しい戦いだ。昨年の沖縄SVは42歳(当時)の高原が勇猛に3戦連続スタメン出場したものの、2戦目でロスタイムに同点弾を許したのが致命傷となって1勝2分で敗退した。

「去年までは自分がスタメンで出ていないといけないチームだったんです。で、結果が出ない。じゃあ今年はもう変えないとって。そうでなきゃ何年経っても同じ目に遭う。まずは編成。去年まではスタートで出る選手はなんとか戦えたけど、なかなか選手交代ができなかったので」

 地域CLに出場した12チーム中、3日連続でスタメンが変わらなかったのは沖縄SVだけ。今季は選手層に厚みを出すべく、大卒やプロなどから新戦力を集めた。そしてもっと大事だったのは、既存の選手、新戦力を問わずに選手を育て上げることにあったという。

「とにかく考えろ。それだけですよ」

 今季は上半期のリーグ戦全勝と順調に結果も出ている。高原は「新しい選手がスタメンで出られるぐらいに成長してくれて、プロである程度やってきた選手と上手く融合できている」と手応えを掴んでいる。チーム5年目のDF岡根直哉も「今年は高原さんのサッカーがより明確になってきた」と集団としての完成度の高さに自信を持っている。

 彼らの才能を耕し、育てるために何をしたのか。岡根の言う“高原のサッカー”とは一体なんだろう。後ろから丁寧にビルドアップするであるとか、高い位置で奪ってショートカウンターというような戦術的志向の話?

【次ページ】 「とにかく考えろ。それだけですよ」

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