昨年10月には自ら出資して農地所有適格法人『沖縄SVアグリ』も設立。豆を栽培するばかりでなく、同時並行でやるべきことは山ほどある。話がそこまで至ると、高原の顔は農家の人というよりも、すっかり社会起業家のそれになっていた。

　一体、高原の中にはいくつの顔があるのだろう。

「いろいろな取り組みをする中でたくさんの方と繋がって、なんだかわからないうちにこうなってしまったんです（笑）。ただ、常にチャレンジしていきたいなという気持ちは持っていて、そのやり方が立ち位置によって違うだけ。選手だけの時代だったら、選手として精一杯のチャレンジをしてきたし、いつでも悔いがないようにやってきたつもりです」

　20代の頃、いまだに後に続く日本人のいないアルゼンチンの名門ボカ・ジュニアーズ移籍を果たしたり、日本人選手が途絶えていたブンデスリーガに挑んだり。あの時と同じマインドで、高原は突き進んでいるのだ。

　そして、当然ながら今もサッカー人としての一面もある。

　コーヒーの実りと時を同じくして、手塩にかけて育ててきたクラブも収穫の時期を迎えようとしている。

＜サッカー編に続く＞

#2に続く

「選手たちの家族の分も人生背負ってるから…」沖縄でサッカーを続ける“黄金世代”高原直泰43歳、会社社長になって性格も変わった

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。