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阪神二軍が引っ越し予定…阪神電車“尼崎駅”には何がある?「ヤクルトより早かったマジック点灯」「大阪では禁止のダンスホールがあった」
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph bySankei Shimbun
posted2022/07/04 17:02
鳴尾浜球場で先発する藤浪晋太郎(写真は2019年のウエスタン・リーグで)。阪神の二軍が移転する尼崎には何があるのか?
その中には、市民がのんびりとくつろぐ芝生の広場や小川が流れつく噴水の池、そして軟式の野球場もある。これが近々リニューアルされて、若虎たちの鍛錬の舞台になる、というわけだ。尼崎という、大阪市のお隣の人口約45万人という大都市の中に、プロ野球のファームの拠点を新たに整備できるというのは、かくのごとく尼崎の歴史的な歩みに背景があったのだ。
大物駅から北に向かって延々と歩いてゆくと、JR尼崎駅に突き当たる。阪神電車に近いエリアは小さな住宅や工場がひしめく住宅密集地。“下町”の雰囲気が濃厚だ。それがJR尼崎駅に近づくにつれて、明らかに背の高いマンションが目立つようになってくる。
線路を跨いでJR尼崎駅の北側に出ると、あまがさきキューズモールという商業施設にホテル、さらにはタワーマンションが圧倒的な存在感でそびえている。もともとはキリンビールの工場があったJR尼崎駅前。阪神電車尼崎駅とはまったく違うその雰囲気に、いささかあっけにとられるものがある。さらに北に進んで阪急電車の塚口駅(やはり尼崎市内)付近になると、もっと雰囲気は変わってゆくのだろう。
阪神電車・JR・阪急電車それぞれの沿線文化の違いというのは単純な見方に過ぎない。“アマ”と呼び慣ばれる尼崎は、もともと阪神電車尼崎駅周辺にあった城下町からはじまった。長い歴史を持つ町と、阪神間の宅地開発に伴って生まれた新しい町。その両面の狭間にあるのが、新たなタイガースタウン、尼崎なのである。
(写真=鼠入昌史)