プロ野球PRESSBACK NUMBER
阪神二軍が引っ越し予定…阪神電車“尼崎駅”には何がある?「ヤクルトより早かったマジック点灯」「大阪では禁止のダンスホールがあった」
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph bySankei Shimbun
posted2022/07/04 17:02
鳴尾浜球場で先発する藤浪晋太郎(写真は2019年のウエスタン・リーグで)。阪神の二軍が移転する尼崎には何があるのか?
駅の北側には広大な公園が広がっていて、東側にはペデストリアンデッキ(というか空中庭園というらしい)まで設えられている。あちらこちらで市民が憩いの時間を過ごしていて、なんとなく一般的な尼崎イメージらしい風景もちらほらと(昼間から飲んでいる人も見かけた)。
駅前公園を抜けて西側に向かうと、尼崎中央商店街のアーケード。この商店街は内部でいくつかに分かれていて、西側にはBGMに『六甲おろし』が流れる三丁目商店街がある。ここがかの有名な、「日本一早くマジックナンバーが点灯する商店街」だ。もちろん今年も開幕前日にマジックナンバー143が点灯し、それが9試合にわたってまったく減らず、ようやくひとつ減ったと思ったらまた……という悲劇に見舞われたのだが、それはまた別のお話である(※なお、実際にはこの商店街のマジックナンバーは本当の意味のマジックナンバーではなく、残り試合数が表示されている)。
この商店街に限らず、パチンコ店からクリニックまで、外観に黄色と黒を配して「あまとら」(つまり尼崎と虎です)を名乗るなど、やっぱり尼崎、徹底的に阪神タイガース、思った通りなのである。タイガースのファームが新たな本拠地を置く。それもまた、何の疑問も生まれないほどにタイガースカラーに染まった町なのだ。
が、これで終わってはさすがにつまらない。そもそも尼崎とはどのような成り立ちの町なのだろうか。
消えた尼崎藩→工業都市へ
その答えのひとつを教えてくれるのは、阪神電車の高架からもちらりと見える、駅の南側のお城である。
阪神尼崎駅南東のお城は、尼崎城という。もちろん最近になって再建された模擬天守なのだが、その場所(のあたり)にかつてお城があったのは事実だ。