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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
中村憲剛の視点「伊東純也と三笘薫は、W杯では相手にかなり分析される」 完敗チュニジア戦で「不在の影響を感じた」ある選手とは?
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/06/21 17:01
両サイドから日本の攻め手を担う伊東純也と三笘薫。W杯本大会では相手の「伊東・三笘対策」を前提とした活かし方が求められる
最初はうまくいっていたけれど、相手が対策を講じてきた──最終予選でも同じ状況はありましたが、そこで「相手がこうしてきたからこうしよう」というイメージを提示してきたのは、インサイドハーフで出場していた守田であり田中でした。
鎌田と原口のインサイドハーフ起用をどう見るか?
僕自身は最終予選の戦いを思い返しながら、インサイドハーフでスタメン出場していた鎌田大地と原口元気を見ていました。
鎌田はビルドアップの出口としてチームを安定させるポジションを取ることもできますが、それ以上にアタッキングサードでのポジション取りも含めて、得点やアシストでそのクオリティを最大限発揮するタイプです。それによって、相手にとって一番怖い、「失点の恐怖」を与えられる選手です。
原口はそもそもドリブラーですが、ブンデスリーガで攻守にタフに戦えるオールラウンダーに変貌しました。勘所を嗅ぎ分ける能力も高く、攻守で強度の高い連続動作をいとわない。そうやってハードワークをしながら、持ち味である運ぶドリブルで得点機に絡むスタイルの選手です。チーム全体の方向性をプレーで示す「ゲームコントロールタイプ」の選手ではありません。
アンカーの遠藤は、攻守においてダイナミックなプレーが最大の持ち味です。「チームの方向性を示す」という観点で言えば、守田や田中ほど得意ではありません。そもそもチュニジア戦の彼は、4試合連続の先発出場でかなり疲れが見えていました。
失点を招いてしまった吉田麻也も、4試合連続の先発で疲労があったのでしょう。チュニジア戦の彼らふたりの姿は、昨夏の東京五輪の終盤戦を思い起こさせました。
日本代表の選手ですから、一人ひとりのレベルは高い。瞬間的なアドリブでチャンスを作ることはできます。
たとえば、前半40分過ぎに相手陣内へドリブルで持ち運んで侵入した板倉滉の浮き球のパスを、2列目から飛び出した南野がコントロールして左足で流し込んだようなプレーです。残念ながらオフサイドで認められませんでしたが、どちらも相手の陣形を見て動いた素晴らしいプレーでした。
いずれにしても、チュニジア戦の日本には、「相手がこう修正してきたから、それを見たうえでこう攻めるぞ」という意思を全体に発信する選手が見当たりませんでした。後半から起用された田中がその役割を果たそうとしていましたが、彼ひとりでは難しいところがあります。そういう意味で、日本の4―3-3に守田の不在を感じました。