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《大瀬良3連敗、森下4連敗》投手起用に迷いあり!? 交流戦3年連続最下位の広島が自慢の強力先発陣を活かしきれない理由
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2022/06/20 11:01
交流戦最後の登板となった6月3日のオリックス戦でも、チームを勝利に導けなかった大瀬良
ただ、最大の武器をフル回転させてきた反動が、交流戦で出たように感じる。森下は1勝もできず、九里は1勝2敗。2戦2敗の大瀬良は先発予定だった10日西武戦登板を回避し、再調整に充てた。交流戦18試合中、QSは9度。達成率50%にとどまった。
交流戦優勝のヤクルトの交流戦QS率は38.9%と広島を下回るが、最大の武器はリリーフ陣だ。今季の救援防御率は他5球団を圧倒している。
◆セ・リーグ救援防御率
ヤクルト 2.00
巨人 3.86
阪神 2.66
広島 3.82
中日 3.46
DeNA 3.24
強力なリリーフ陣を積極的かつ効果的に投入することでパ・リーグの攻撃をしのいできた。交流戦でもヤクルトらしさで戦い、勝ってきたということだろう。
鍵を握る先発のマネジメント
一方の広島は、セ・リーグとの戦いで“らしさ”を取り戻すことができるかどうか。先発の陣容を崩せば中継ぎに厚みを持たせることもできるが、当然リスクを伴う。ないものねだりはできない。やはり先発陣が最大のストロングポイントとなる。そんな先発力を最大限に生かすには、マネジメント力が鍵を握る。
離脱という目に見える影響だけでなく、疲労の蓄積や不調など目に見えない影響も極力避けたい。目先の勝利をつかみつつも、その先にあるリスクにも目を光らせなければいけない。
今季は大量リードしても、先発投手に一定の投球回、球数までは投げさせてきた。5月20日の中日戦では、5点リードの6回まで98球を投げた大瀬良はその後も続投。結局、8回121球を投げ切った。前回登板が雨天中止で流れたことで登板間隔を中13日空けたとはいえ、そんな貯金を使い果たす続投策だったように感じられた。結果、大瀬良はその後1度の選手登録抹消を含め、勝ち星を得ていない。