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“9試合で勝ち点3”J2最下位・大宮の苦しすぎる現状…急遽「フットボール本部長」に就任した原博実氏の使命とは?「正直に言うと…」
posted2022/04/16 11:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
もはや、驚きではないのかもしれない。
大宮アルディージャが苦しんでいる。9節を終えたJ2で唯一勝利がなく、最下位に沈んでいるのだ。
2018年に2度目のJ2降格となってから、すでに5シーズン目に突入している。18年は5位で、19年は3位でJ1参入プレーオフに進出したものの、いずれも1回戦で敗れた。
ここまではまだ、J1昇格候補と呼ばれることに違和感がなかったかもしれない。ところが、コロナ禍で行なわれた20年から雲行きが変わる。ケガ人の続出などにも見舞われ、J2でクラブワーストの15位に沈んだ。
21年も開幕から2勝5分10敗と低空飛行が続く。クラブは6月に現場のトップ交代を決断し、霜田正浩監督へチームが託された。
環境・戦力だけなら昇格争いでもおかしくないはずが…
大宮は十分なスペースが確保されたクラブハウスを持ち、目の前にはきちんと整備されたピッチがある。J1で実績を積んでいる選手は少しずつ減っているものの、J1昇格争いに食い込んでもおかしくない戦力が揃っている。予算規模は縮小傾向にあるが、それでも小さくはない。そういった要素を踏まえたうえで、霜田監督は大宮というクラブの潜在能力に言及した。
「クラブのポテンシャルや選手たちの力を考えれば、ただ単にJ2残留争いで勝ち点1ずつ積み上げるとか、そういう時期、タイミング、戦力ではないと思うのです。選手の力をちゃんと引き出して、大宮はこういうサッカーをすると世の中に発信して、こうやってやればそれができるんだ、ということを証明する。その結果として勝ち点3がついてくる、順位が上がっていく、J2残留も含めてひとつでも順位が上がっていく、となっていけばいいなと」
霜田監督就任後は7勝10分8敗とほぼ五分の成績を残し、16位でJ2残留を果たす。25試合で36得点33失点の数字を残し、新体制下では得失点差をわずかながらプラスへ持っていった。最終戦でJ2残留を決めた直後、指揮官は話した。
「守って、守って勝ち点1を取り続けて残留するのではなく、ある程度リスクも背負って攻撃的に戦う。残留はひとつのゴールだけど、クラブの将来を考えれば今回の残留争いを次につなげないといけない。残留してホッとして、じゃあまたイチからやりますでは、次のシーズンも同じようなことになりかねない。残留争いはこうあるべきだというようなものがあるなかで、ちょっと賭けではありましたけど、次のシーズンにつながるサッカーをやらないと希望がない、と考えたんです」