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“9試合で勝ち点3”J2最下位・大宮の苦しすぎる現状…急遽「フットボール本部長」に就任した原博実氏の使命とは?「正直に言うと…」 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2022/04/16 11:01

“9試合で勝ち点3”J2最下位・大宮の苦しすぎる現状…急遽「フットボール本部長」に就任した原博実氏の使命とは?「正直に言うと…」<Number Web> photograph by Getty Images

ホームで逆転負けを喫した第3節のロアッソ熊本戦後、NACK5スタジアムに集ったサポーターに頭を下げる大宮アルディージャの選手たち

 J2からJ1へ昇格していくチームは、組織としての練度を高めつつ、傑出した「個」を持っていることが多い。昨シーズンのJ2を制したジュビロ磐田なら、3-4-2-1のシステムで遠藤保仁やルキアン(現アビスパ福岡)らのタレントを生かした。2位でJ1へ昇格した京都サンガは、曺貴裁監督が選手全員の個性を引き出しつつ、ピーター・ウタカやヨルディ・バイス(現ファジアーノ岡山)が違いを見せた。

 今シーズンの大宮はどうだろう。いい選手は揃っている。「止める、蹴る」がしっかりとできる選手は多い。ただ、はっきりとした違いを見せているタレントはいない。違いを生み出せそうな選手はいるが、生み出すプレーを見ることはできていない。

原博実氏「真面目なクラブだと思う。ただ正直…」

 合流初日の練習を観た原フットボール本部長は、クラブの前身の「NTT関東当時から知っている」と前置きをして、「真面目なクラブだと思うんです」と続けた。そこから先が核心である。

「その真面目なクラブがゆえに選手たちが……僕は正直に言うと、もっとこう、ケンカになるのは良くないですけれど、もう少し闘志が表われるシーンがあってもいいかなと思うところもあるし。今日はそういう練習ではなかったですけど、ピッチで見た感じでは、それが足りていないかなと思うので」

 新任のフットボール本部長の指摘は、このチームのすべてを言い表すものではないだろう。それでも、足りないものの一部分であることは間違いなく、そうした「欠片」をしっかりと拾い集めていくことが、チーム再建の前提となるはずだ。

 決定的に欠けているものはないが、足りないものは少なくない。ポテンシャルにふさわしい結果を残せていないのはそのためで、原フットボール本部長の就任をきっかけとした抜本的な体質改善が、いまこそ求められている。「ポテンシャルのあるクラブ」という評価から一歩前へ踏み出さなければ、J1への扉を開くことはできない。J2の下位に低迷することも、驚きではなくなってしまう。

 少なくとも対戦相手は、大宮を「格上」と見ていない気がする。ホームかアウェイかを問わず、どのチームもはっきりと勝利をつかみにきているのだ。

 結果を出すためには衝突もいとわない覚悟を、フロントも現場も固めるべきである。このまま手をこまねいていたら、J3降格が現実味を帯びてしまう。時間的猶予は、ない。

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