酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

佐々木朗希20歳の完全試合は「漫画超え史上最高の105球」 過去15例と比べても破天荒な理由の数々〈13連続奪三振+19K+164km〉

posted2022/04/11 11:03

 
佐々木朗希20歳の完全試合は「漫画超え史上最高の105球」 過去15例と比べても破天荒な理由の数々〈13連続奪三振+19K+164km〉<Number Web> photograph by Kyodo News

完全試合を達成した佐々木朗希。28年ぶり16人目の記録は、日本野球史に語り継がれる105球となった

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph by

Kyodo News

2022年4月10日、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希選手が日本プロ野球史上16人目となる完全試合を達成しました。その偉業を祝して記録面で見た105球のスゴさ、佐々木朗希をめぐる名言を配信します(名言編も)

 フォークやツーシーム、チェンジアップなどの「落ちる球」「動く球」の進化によって、投手の奪三振は増える傾向にある。しかしプロ野球全体のレベルアップによって選手の実力差は小さくなり、完全試合や最多奪三振記録など「投手が打者を圧倒する」記録は、平成以降出現しにくくなっていた。

 それだけに4月10日のロッテ・佐々木朗希がZOZOマリンスタジアムで見せた投球は、破天荒だと言ってよい。しかも相手は昨年のリーグ優勝チーム、オリックス・バファローズだった。

 全く大げさでなく、日本プロ野球84年の歴史で「最高の投球」と言っても良いのではないか。どんな野球漫画でもこんな記録は描けないだろう。故・水島新司は天上で何を思うだろうか?

佐々木朗希が達成した偉大過ぎる記録の数々

 この日、佐々木朗希が達成した主要な記録を列記する。

☆完全試合 史上16人目 1994年5月18日、巨人・槙原寛己が達成して以来約28年ぶり☆

<完全試合の記録>
※達成日の後、カッコ内の数字はダブルヘッダーの試合であることを示す。

藤本英雄(巨人)1950.6.28
西日本戦4-0/7奪三振
武智文雄(近鉄)1955.6.19(2)
大映戦1-0/6奪三振
宮地惟友(国鉄)1956.9.19(2)
広島戦6-0/3奪三振
金田正一(国鉄)1957.8.21(2)
中日戦1-0/10奪三振
西村貞朗(西鉄)1958.7.19
東映戦1-0/6奪三振
島田源太郎(大洋)1960.8.11 (1)
阪神戦1-0/3奪三振
森滝義巳(国鉄)1961.6.20
中日戦1-0/4奪三振
佐々木吉郎(大洋)1966.5.1 (2)
広島戦1-0/7奪三振
田中勉(西鉄)1966.5.12
南海戦2-0/7奪三振
外木場義郎(広島)1968.9.14
大洋戦2-0/16奪三振
佐々木宏一郎(近鉄)1970.10.6
南海戦3-0/4奪三振
高橋善正(東映)1971.8.21 (2)
西鉄戦4-0/1奪三振
八木沢荘六(ロッテ)1973.10.10 (1)
太平洋戦1-0/6奪三振
今井雄太郎(阪急)1978.8.31
ロッテ戦5-0/3奪三振
槙原寛己(巨人)1994.5.18
広島戦6-0/7奪三振
佐々木朗希(ロッテ)2022.4.10
オリックス戦6-0/19奪三振

史上最年少で「佐々木」姓は3人目の達成

 佐々木朗希は2001年11月3日生まれ。20歳5カ月での達成は1960年、大洋の島田源太郎の20歳11カ月を上回る史上最年少記録となった。19奪三振は1968年の広島・外木場義郎の16奪三振を上回る最多記録である。

 おまけに言うなら佐々木姓での記録達成は、1966年の大洋・佐々木吉郎、1970年の近鉄・佐々木宏一郎に続いて3人目。ノーヒットノーランとしては史上83人目94回目となる。

【次ページ】 パが誇る“ドクターK”の系譜に名を刻む19奪三振

1 2 3 NEXT
#佐々木朗希
#千葉ロッテマリーンズ
#オリックス・バファローズ
#完全試合

プロ野球の前後の記事

ページトップ