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「高卒18歳ドラ1捕手がキャリア7戦目で完全試合」松川虎生-佐々木朗希は“ロッテの黄金バッテリー”となるか〈記録で見るスゴさ〉
posted2022/04/12 11:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Sankei Shimbun
すでに佐々木朗希の完全試合について記事をアップしたが、まだ付記すべきことがいくつかある。それくらいものすごい記録だったのだ。
☆MLBの完全試合との比較☆
20世紀以降のMLBでは公式戦で20回、ワールドシリーズで1回、21世紀以降では公式戦で7回完全試合が行われている。
最年少での達成は、1968年5月8日のミネソタ・ツインズ戦で記録したオークランド・アスレチックスのキャットフィッシュ・ハンターの22歳1カ月。佐々木朗希は20歳5カ月の達成だから、MLBの記録を上回っている。
また完全試合の奪三振記録は、1965年のサンディ・コーファックス、2012年のマット・ケインの14奪三振が最多。佐々木朗希の19奪三振はこの記録をも大きく上回っている。
完全試合でボールを受けた「捕手の年齢」を見てみると
☆高卒1年目、キャリア7試合の松川虎生が大記録の捕手☆
16回のNPBの完全試合でボールを受けた捕手とその時の年齢を見てみよう。カッコ内の数字はダブルヘッダーの第1試合か第2試合か。
藤本英雄(巨人)1950.6.28西日本戦
捕手 藤原鉄之助/25歳8カ月
武智文雄(近鉄)1955.6.19 (2)大映戦
捕手 原勝彦/25歳
宮地惟友(国鉄)1956.9.19 (2)広島戦
捕手 阿井利治/21歳3カ月
金田正一(国鉄)1957.8.21 (2)中日戦
捕手 佐竹一雄/32歳6カ月
西村貞朗(西鉄)1958.7.19東映戦
捕手 和田博実/21歳3カ月
島田源太郎(大洋)1960.8.11 (1)阪神戦
捕手 土井淳/27歳2カ月
森滝義巳(国鉄)1961.6.20中日戦
捕手 根来広光/24歳8カ月
佐々木吉郎(大洋)1966.5.1 (2)広島戦
捕手 伊藤勲/23歳11カ月
田中勉(西鉄)1966.5.12南海戦
捕手 和田博実/29歳1カ月
外木場義郎(広島)1968.9.14大洋戦
捕手 田中尊/32歳5カ月
佐々木宏一郎(近鉄)1970.10.6南海戦
捕手 辻佳紀/29歳9カ月
高橋善正(東映)1971.8.21 (2)西鉄戦
捕手 種茂雅之/33歳6カ月
八木沢荘六(ロッテ)1973.10.10 (1)太平洋戦
捕手 村上公康/28歳7カ月
今井雄太郎(阪急)1978.8.31ロッテ戦
捕手 中沢伸二/32歳2カ月
槙原寛己(巨人)1994.5.18広島戦
捕手 村田真一/30歳5カ月
佐々木朗希(ロッテ)2022.4.10オリックス戦
捕手 松川虎生/18歳5カ月
これまで最も若い捕手は、1956年9月19日の広島戦で宮地惟友のボールを受けた阿井利治の21歳3カ月。この年プロ3年目だった。
年下のキャッチャーだったのは過去、何例ある?
今回の佐々木朗希の相手を務めたのは松川虎生。2021年秋、市立和歌山高からドラフト1位で入団したルーキーで、まだ18歳5カ月。記録を大幅に更新した。
松川は開幕戦でスタメンマスクをかぶり、出場わずか7試合目でこの歴史的な記録の相方を務めることになった。高卒1年目で160km/hの剛速球、150km/h近いフォークをしっかり捕球する。そういう新時代が来たということだろうか?