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佐々木朗希20歳の完全試合は「漫画超え史上最高の105球」 過去15例と比べても破天荒な理由の数々〈13連続奪三振+19K+164km〉 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2022/04/11 11:03

佐々木朗希20歳の完全試合は「漫画超え史上最高の105球」 過去15例と比べても破天荒な理由の数々〈13連続奪三振+19K+164km〉<Number Web> photograph by Kyodo News

完全試合を達成した佐々木朗希。28年ぶり16人目の記録は、日本野球史に語り継がれる105球となった

 佐々木朗希は105球で大記録を達成した。27のアウトのうち19が三振。ロッテの野手が処理をしたのは二ゴロが2つ、一ゴロ、三ゴロ、遊ゴロが1つ、捕邪飛が1つ。中飛、右飛がそれぞれ1つ。外野には打球は2球だけだった。完全試合における毎回奪三振は初となる。

パが誇る“ドクターK”の系譜に名を刻む19奪三振

☆1試合奪三振 19/1位タイ☆

<奪三振記録5傑>
野田浩司(オリックス)19奪三振
1995.4.21ロッテ戦
佐々木朗希(ロッテ)19奪三振
2022.4.10オリックス戦

田中将大(楽天)18奪三振
2011.8.27ソフトバンク戦
足立光宏(阪急)17奪三振
1962.5.24南海戦
野茂英雄(近鉄)17奪三振
1990.4.29オリックス戦
野田浩司(オリックス)17奪三振
1994.8.12近鉄戦

 上位5傑(6記録)はすべてパ・リーグで記録された。セの最多は巨人の金田正一(1967.6.7大洋戦)など8人が記録した16奪三振である。

 野田浩司の19奪三振も千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)での記録だった。この時期、このスタジアムは風が強く、フォークが良く落ちるとされる。佐々木朗希のフォークも140km/h台後半の球速で急激に落ちた。オリックス打線は手も足も出ない状況だった。

 19の奪三振のうち、吉田正尚から3つを奪ったのは非常に価値が高い。今季の吉田はこの試合前までわずか1三振。今のNPBで最も三振が奪いにくい打者なのは間違いない。

 吉田が1試合で3三振したのは2018年5月6日のソフトバンク戦以来、約4年ぶりキャリア3回目(同一投手に3三振は2回目)のことだった。

13者連続奪三振もまた、破天荒な大記録なワケ

☆連続奪三振 13 史上1位☆

<連続奪三振5傑>
佐々木朗希(ロッテ)13連続 2022.4.10オリックス戦1~5回
梶本隆夫(阪急)9連続 1957.7.23南海戦3~6回
土橋正幸(東映)9連続 1958.5.31西鉄戦1~4回
鈴木隆(大洋)8連続 1960.6.1巨人戦4~6回
尾崎行雄(東映)8連続 1962.4.29西鉄戦7~9回
潮崎哲也(西武)8連続 1990.7.5オリックス戦4~6回
西口文也(西武)8連続 1996.9.23近鉄戦5~7回

 過去の記録をごぼう抜きにして破天荒な記録を作ってしまった。

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