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三笘薫は「食」にもストイック? ベルギー生活を支える専属栄養士が驚く“細かい質問”…「苦手なセロリもきちんと食べる、白米は10g単位で」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byMasaki Fujioka/JMPA
posted2022/04/04 11:04
W杯出場が懸かったオーストラリア戦で2ゴールを決めた三笘薫。昨夏から始まった海外生活では「食事」を見直した
また、食事や栄養管理は精神的な安定にもつながっている。慣れない海外生活に加え、選手たるものいち早く次のステージに到達したい気持ちは強い。それが“焦り”を生み出してしまうことは多々ある。三笘もまた「生き急いでいるのではないか」と緒方さんが驚くほど、ストイックさに拍車がかかることもあった。
「そうなると何でもかんでも凄く詰め込みすぎてしまって、逆効果になってしまうこともあります。そこは周りが制御しないといけません。私だけではなくグループとしてなるべく三笘選手の“先回り”をして、『この目標のこの段階にいるからこそ、大丈夫だよ』という安心感を与えないといけないと思っています」
緒方さんが「ストイックさと楽しみをグラデーションしている」と語るように、オフの日は鍋を囲むなど楽しみを増やす工夫を施し、また麺類を食べたいという本人の欲求を満たすときは十割蕎麦を提供する。「食事を楽しむ」ことは充実した海外生活を送る中で欠かせない要素だと教えてくれた。
「お金を払ってでも観たい選手」になりたい
着実にステップアップする三笘は大学時代、こんなことを言っていた。
「僕の理想像は自分で勝負を決められる選手になること。結局、最終的にはその個の打開力が『戦術』になるんですよね。その選手の存在自体がチームとしての1つの戦術にまでならないと生き残って行けないと思っている。『お金を払ってでも観たい選手』になりたいんです」
理想をただ頭に思い浮かべるのではなく、具現化するための手段を真剣に考え、自主的に学び、そして周囲のサポートに耳を傾け、議論と実践を繰り返す。だからこそ、三笘は着実に階段を上ってくることができた。
彼が掲げる目標は、そう遠くない未来に実現するかもしれない。
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