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JリーグPRESSBACK NUMBER
「三木谷会長の選択を間違いには絶対したくない」三浦淳寛の背中を押した言葉とは? 指揮官がいま明かす“ヴィッセル神戸を率いる覚悟”
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2022/03/05 11:00
アンドレス・イニエスタに指示を送るヴィッセル神戸の三浦淳寛監督。J屈指のタレント集団を機能させ、昨シーズンはACL出場権を獲得した
「試合を支配して負けた」では納得できない
――昨シーズンの成績を見ていると、1点差の勝利やロスタイムに追いつく試合が多くありました。
2018年にバルセロナのような攻撃的なサッカー、ゲームの主導権を握ったサッカーをしたいと改革を始めました。改革には痛みも伴うし、うまくいかない時期もありましたが、スタイルを構築することを進めてきました。同時にプロですから、試合に勝たなければいけない。「ポゼッション率は高かったけれど、負けました」では僕は納得できません。監督に就任してからはよりアグレッシブな守備を求めました。そこを改善しない限り、主導権を握ったサッカーは絶対にできない。
バルセロナというと華麗な攻撃がクローズアップされるけれど、積極的な守備があってこその攻撃なんです。得点もきれいにパスを繋ぐだけじゃない。カウンターの得点も少なくありません。勝つためには得点が必要ですから、バルセロナでさえ、その確率を上げるためのプレーを選択している。だから僕も、勝つ確率を上げる戦術というのを常に考えています。
――華麗な攻撃にはアグレッシブな守備が必要であるのと同様に、人目にはつかない時間や場所で自分を磨くことがプロには必要なんでしょうね。昨年加入した大迫勇也にしても武藤嘉紀にしても非常に泥臭いというか、汗をかくことをいとわないストライカーですが、そういう選手がヴィッセルに揃ってきたようにも感じます。
今の時代、ハードワークをしていないチームはなかなか勝てません。泥臭いプレーも、チーム全体としての攻守の連動性も必要不可欠なものです。そのためにはフィジカルも絶対に必要。最後の一歩でディフェンダーの前に足が出てゴールをするとか、大ピンチでも、最後に投げ出した足にボールが当たってシュートを防げるという場面がありますよね。そういうプレーは足先のテクニックだけじゃ絶対に無理です。フィジカルだって必要だし、普段の厳しいトレーニングの成果が試合に出るところだと思っています。
――昨シーズンはさまざまなシステムで戦いましたね。
システムを変えても、選手のなかで我々のスタイルというのは明確になっていると感じています。もちろん相手は毎試合違いますし、怪我なども含めて選手構成が変わるケースもあります。たとえば去年、シーズン序盤にイニエスタやトーマス(・フェルマーレン)、ドウグラスが不在だったときは、4-4-2の横並びのフラットな形で、いつも以上にハードワークを求めて、粘り強く戦い勝ち点を重ねました。イニエスタが復帰して4-2-3-1に変わり、その後も出場選手に応じて3-5-2もやったし、終盤は中盤をダイヤモンドにした4-4-2もやりました。