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「8時前には練習場に来い」「このままだと下のカテゴリーに行くぞ」神戸・三浦淳寛監督が若手選手に“厳しい言葉”をかける理由
posted2022/03/05 11:01
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takashi Shimizu
ヴィッセル神戸の三浦淳寛監督は、国見高校時代に全国高校サッカー選手権で2度の優勝を果たしている。青山学院大学に進学後、1994年に大学を中退し横浜フリューゲルスに加入した。
その後は日本代表にも招集され、2000年にはオーバーエイジのひとりとしてシドニー五輪メンバー入り。日韓W杯のメンバーには選ばれなかったものの、続くドイツ大会を目指すジーコジャパンの一員として欠かせない存在となった。立場はサブだったが、2004年のアジア杯やアジア最終予選で献身的なリーダーとして振る舞う三浦の姿に、大きな影響を受けたと語る選手は少なくない。
指揮官としても「チームの一体感」を重要視する三浦が、2020年秋の監督就任後、試合に出ていない若手にチャンスを与えたのは、チームの総合力強化だけでなく、各国代表経験者である主力選手との意識の差、違いを埋める狙いもあったのではないか。インタビュー後編では、クラブの未来を担う選手たちへの思いを掘り下げた。(全2回の2回目/前編へ)
◆◆◆
――三浦監督は、2018年にヴィッセル神戸のスポーツダイレクターに就任しました。その年にアンドレス・イニエスタが加入し、元ベルギー代表のトーマス・フェルマーレン(2022年1月現役を引退。代表コーチに就任)、セルジ・サンペールといった外国人選手だけでなく、山口蛍や酒井高徳など日本代表クラスの選手の獲得が続きました。
蛍や高徳はプレーでもチームを引っ張ってくれるけれど、やっぱり人間性の部分でリーダーとしての資質を持っている。イニエスタもそうですが、一流と言われる選手が日々の練習を大事にしている姿、彼らのすばらしいメンタリティに触れることで、若い選手たちの意識も変わったと思います。試合に出るためには、彼ら以上のトレーニングが必要だと納得せざるを得ない環境ですから。
――選手獲得の際に、メンタリティについての評価もされていたのですか?
もちろんプレー的にチームのスタイルに合うのか、必要な戦力かを判断します。でも、それ以上に重要なのはキャラクターや性格です。その部分で適した人材だと思えなければ獲得を諦めるというのは明確にしていたので、今のうちにいる選手たちはみんな、すばらしいメンタリティを持っていると思いますね。
――神戸の若手選手にとっては、主力選手のレベルの高さは非常に高いハードルにもなり得ますね。
そうですね。でも、現役としてプロの世界で勝負できる時間は短いものです。カズさん(三浦知良)のように長くチャレンジできる人は少ない。その限られた時間のなかで、世界で戦ったイニエスタのような選手や、日本代表で活躍した選手は、いろんなものを犠牲にしてサッカーに向き合っている。そこは普通の選手とはまったく違います。うちにも若くていい選手はたくさんいますが、イニエスタをはじめとした主力選手たちを本気で越えることを目指さないと、ヴィッセルでプレーするのは難しいとはっきりと伝えています。