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「三木谷会長の選択を間違いには絶対したくない」三浦淳寛の背中を押した言葉とは? 指揮官がいま明かす“ヴィッセル神戸を率いる覚悟”

posted2022/03/05 11:00

 
「三木谷会長の選択を間違いには絶対したくない」三浦淳寛の背中を押した言葉とは? 指揮官がいま明かす“ヴィッセル神戸を率いる覚悟”<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

アンドレス・イニエスタに指示を送るヴィッセル神戸の三浦淳寛監督。J屈指のタレント集団を機能させ、昨シーズンはACL出場権を獲得した

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 ヴィッセル神戸といえば、2018年夏に加入したアンドレス・イニエスタをはじめ大型移籍で注目を集めることが多い。

 元ベルギー代表のトーマス・フェルマーレン(2022年1月現役を引退。代表コーチに就任)、セルジ・サンペール、ボージャン・クルキッチなど、FCバルセロナに縁を持つ外国人選手だけでなく、山口蛍、酒井高徳、大迫勇也、武藤嘉紀といった日本代表経験者も加わった。

 2019年には天皇杯を獲得し、翌2020年のACLの出場権を手にしている。しかしコロナ禍に見舞われた2020年9月、トルステン・フィンク監督がチームを去った。当時リーグ戦では7試合勝利がなく、第17節終了時点で暫定順位も12位と低迷。そんななかで指揮を任されたのが、2018年からスポーツダイレクターを務めていた三浦淳寛だった。

 リーグ戦は終盤6連敗を喫したものの、Jリーグ終了後に開催されたACL決勝トーナメントで準決勝に進出。延長戦の末、蔚山現代FCに敗れたが、クラブが長く掲げる「アジアナンバー1」という目標に肉薄した。

 そして迎えた2021年はリーグ3位と、クラブ創設以来最高順位をマーク。川崎フロンターレが首位をひた走り、横浜F・マリノスが破壊力を見せる一方で、神戸は堅実な戦い方で勝ち点を積み重ねていった。多種多様な才能が集うなか、指揮官はどのような哲学でチームをマネージメントしているのか? J屈指のタレント集団を束ねる三浦監督に話を訊いた。(全2回の1回目/後編へ)

◆◆◆

――2020年シーズン終盤に6連敗して14位に。一方、その後のACLではもう少しで決勝進出できるところにまで迫った。この明暗が、昨シーズンの3位に繋がっていると感じました。

 監督を引き受けたとき、すでにリーグ戦で上位に食い込むのは難しい状況でした。けれど、クラブが目標とするアジアナンバー1の可能性は残っている。僕は相当な負けず嫌いなので、リーグ戦もACLもすべてに勝ちたいという思いは当然ありました。でも、初めて監督の仕事をスタートさせるわけですから、「両方でよい成績を残すのは正直難しいだろう」と客観的に考えたのも事実です。

 同時に、若い選手を伸ばして総合力を上げないと、結果は手にできないとも考えました。そこで申し訳ないけれど、リーグ戦ではなくACLに照準を合わせていくことを決断したんです。若い選手たちのモチベーションを上げながら起用して、プレー経験を積ませて成長させないと、ACLではまったく歯が立たないと思ったので。

【次ページ】 監督就任の背中を押した三木谷会長の言葉

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