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JリーグPRESSBACK NUMBER
「三木谷会長の選択を間違いには絶対したくない」三浦淳寛の背中を押した言葉とは? 指揮官がいま明かす“ヴィッセル神戸を率いる覚悟”
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2022/03/05 11:00
アンドレス・イニエスタに指示を送るヴィッセル神戸の三浦淳寛監督。J屈指のタレント集団を機能させ、昨シーズンはACL出場権を獲得した
――チームの問題点として、特別な選手はいるけれど、総合力の面で弱さがあると感じていたと。
弱さは正直ありましたね。主力として出ている選手たちが怪我をしたり、イレギュラーなことが起きたときに、結構難しいなとは思っていました。監督に就任して、スタッフたちと話しながら、そういう結論になったんです。
――そこで、結果を追求すること以上に若い選手を起用して、成長を促そうと。
はい。それでもリーグ戦6連敗は悔しいし、申し訳ないという気持ちもありました。ただ今まで出場機会のなかった選手たちが、プレーすることによってどんどん力をつけ、成長しているという実感もありました。それがACL初参戦でベスト4という成績に繋がったと思います。
監督就任の背中を押した三木谷会長の言葉
――2018年にスポーツダイレクターに就任以降、何度か監督交代がありました。そのたび、ご自身が指揮を執ることは考えていなかったのですか?
考えていなかったですね。もちろんチャンスがあれば監督をしたいという気持ちがあったので、S級ライセンスを取得しました。ただ、いきなりヴィッセル神戸のようなチームで指揮を執るとはまったく考えていませんでした。でも三木谷(浩史)会長から「監督に向いている」と言っていただいて。「誰だって初めてはあるんだから」と。とはいえ、最初は逡巡していました。
――分野は違っても、三木谷浩史という企業マネージメントで大きな成果を残している人の言葉は重いですよね。
それはもちろんあります。三木谷さんは楽天という日本を引っ張っていく企業を作り、世界的な存在にされた方です。「監督に向いている」という言葉は率直にうれしかった。だからといって自信が生まれるわけじゃないけれど、やる気は出ますよね。なにがなんでも、会長の期待に応えたい。「三木谷さんの選択が間違いだった」という結末には絶対にしたくないですから。今まで以上の結果を出したいという覚悟で引き受けました。そういう僕自身の気持ちと、なにより選手たちの日々のトレーニングに取り組む姿勢が、昨シーズンの3位という成績、ACL出場権獲得に繋がったと感じています。