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全治6カ月の大ケガから復帰初戦で痛恨のパスミス…それでもマリノス畠中槙之輔26歳が「また同じシーンになったら同じところを狙う」と語る理由
posted2022/02/26 17:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
J.LEAGUE
畠中槙之輔がいて、チアゴ・マルチンスがいて。
同じ1995年生まれの2人はいつもセットだった。
勝手に決めていた約束は果たせなかった。2月19日、J1開幕戦。横浜F・マリノスの“守備の要”畠中槙之輔が、全治6カ月の大ケガから半年ぶりに戻ってきた。ただ隣に、2019年のリーグ優勝を一緒に支えたいつもの相棒はいなかった。
2月に入ってからニューヨーク・シティFCへの移籍が決まり、バタバタで横浜を離れていった。別れのとき、畠中はチアゴに胸にあった思いを告げた。
「俺、チアゴと一緒にプレーしたいから、早くケガを治そうと頑張ってきた。いなくなるなんて寂しいよ」
「シンならやれるよ。また会おう」
言葉に詰まった。少し間を置いてから、チアゴの目をまっすぐに見て言った。
「チアゴの分までしっかり頑張るよ。応援してくれよ」
笑って送り出そうと表情を緩めると、同じ顔をした相棒は静かにこう返した。
「シンならやれるよ。また会おう」――。
待ちに待った復帰の舞台。
「チアゴの分」をやろうとする背番号4がいた。懸命なカバリングでブルーノ・メンデスに対峙してシュートまではやらせない。仲川輝人にも負けないスピードを活かしたカバリングはチアゴの専売特許。同じようにはできないものの、読みと工夫と対応力で何とかやり切った。
「チアゴはとにかく安心感がありました。自分が前に出ていったときに裏のカバーに対して100%の信頼を置いてきましたから。セレッソとの開幕戦は(岩田)智輝と組みましたけど、僕もそうならなきゃいけない。パートナーから信頼されて前に出ていってもらえるように。何回かそれができたのは良かったなと思います」
新たな約束を果たそうとする彼がいた。