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“森保ジャパン批判されがち問題”を三都主が語る「セレソンも無敗でW杯出場なのに…」「要求が大きいのは期待の裏返し」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2022/02/01 06:01

“森保ジャパン批判されがち問題”を三都主が語る「セレソンも無敗でW杯出場なのに…」「要求が大きいのは期待の裏返し」<Number Web> photograph by Sports Graphic Number/JMPA

日本代表時代の三都主アレサンドロ。その重圧を知るからこそ、現代表にエールを送る

「これは、日本の選手育成の大きな成果だと思う。たとえば、近年、中国は法外な報酬を払って外国人の選手、監督を大勢連れてきた。そのお陰でアジアチャンピオンズリーグでは好成績を収めているけれど、代表の強化には結びついていない。

 一方、日本は大物外国人選手を獲得できるクラブは限られているけれど、各クラブがアカデミーでの選手育成に力を注いできた。こっちが正解だよ。今後、さらに優秀な選手をさらに多く育ててほしい」

――あなたも、浦和レッズ在籍中の2007年、ザルツブルクへ期限付き移籍しました。ただ、欧州のシーズン途中に入団したこともあり、1年間で20試合(1得点)の出場に留まりました。

「チームの選手のほとんどが出身国の代表で、レギュラー争いのレベルが非常に高かった。でも、自分にとって非常に有益な経験となった。今の選手にも、どんどん外国へ出て行ってもらいたい。でも、外へ出るだけではダメ。試合に出場しないと、成長に結びつかない」

「勝ってはいるが内容が悪い」と批判されるブラジル

――話は変わりますが、最近、日本代表の森保一監督や一部の選手に対して、メディアとファンから批判の声が高まっています。このことをどう思いますか?

「ブラジルでは、昔から監督、選手へのプレッシャーが凄まじい。2002年W杯南米予選で不調で、辛うじて3位で予選を突破したときなんか『W杯へ出ても恥をかくだけだから、出場を辞退しろ』なんて声が出たくらい。でも、それで選手たちが奮起して、結果的に優勝した。

 今のセレソンも、南米予選で無敗のまま首位を独走してW杯出場権を獲得したのに、『勝ってはいるが、内容が悪い』などと批判されている。でも、世界の強豪国は大体そうだと思うよ。

 日本代表への要求が大きくなっているのは、期待の裏返し。選手、監督も、厳しい要求を突きつけられて奮起する部分がある。

 メディアと国民が日本代表に色々と要求をしたり意見を言うのは、日本のフットボールの発展にとって有益なこと、ポジティブなことだと思う」

日韓W杯トルコ戦、「あのFKは入ったと思ったね」

 地球の反対側で生まれながら、若くして日本へ渡り、様々な困難を乗り越えた。Jーグのクラブで活躍し、日本国籍を取得して日本代表に選ばれた。青きサムライとなって、2002年と2006年のW杯に出場した。

 2002年W杯ラウンド16の、雨が降りしきる仙台でのトルコ戦。0-1で迎えた前半終了間際、ゴール前やや左側の位置でFKを放った。「自信があったので、中田(英寿)と小野(伸二)に頼んで任せてもらった。蹴った瞬間、入った、と思った」という見事なキックは、無情にもゴールのバーとポストの交叉する場所を強く叩いて跳ね返った。

 もしあのキックがバー・ポストの外側ではなく内側へ跳ね返り、日本がトルコを破ってベスト8入りを果たしていたら、彼は国民的英雄となっていたのではないか。

 日本人女性と結婚し、4人の子どもは日本とブラジル両方の国籍を持つ。現役引退後も日本のフットボールと太いパイプを保ち、元日本代表の誇りを胸に、多彩な活動を続ける。

 この男と話をしていると、いつも、「日本のフットボールの発展に貢献したい」という強い気持ちが伝わってくる。<「中国戦・辛口解説」編から続く>

#3に続く
「長友を代える必要あった?」「陰のMOMは田中碧」「内容に不満があるのは…」三都主アレサンドロが“快勝サウジ戦”を斬る

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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