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高川学園「ぐるぐるトルメンタ」や東福岡「歩く壁」など斬新セットプレー… では世界的流行《FKで壁下に寝そべるアレ》の名前は?
posted2022/01/08 17:01
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Getty Images
若さゆえの発想力とは本当に恐ろしい。
現在開催されている第100回全国高校サッカー選手権大会の1回戦、星稜vs高川学園での一幕が話題沸騰中だ。
前半8分のセットプレー。右サイドの深い位置でフリーキックを獲得した高川学園はコーナーキック同様、クロスボールからの押し込みを狙う。そこで例のプレーが発動された。
ペナルティボックス端に集まった5人が手をつないで円状になり、まるでマイムマイムを踊るようにぐるぐると回り始めた。キッカーが蹴る直前に5人は分散。一斉にゴール前に向かって走り込むと、完全にフリーとなった林晴己がヘディングで押し込んだ。
セットプレーの際にマンマークをつかせず、より有利な体勢でシュートに持ち込むための秘策。全員が手をつなぐため付け入る隙がなく、かつ誰がどの方向に走り込むか予測できない。そしてなによりあの異様な光景だ。マンマークで守るチームには間違いなく「初見殺し」になる技である。
世界的反響の「トルメンタ」、そして東福岡の「歩く壁」
「トルメンタ(スペイン語で嵐)」と名づけられたこのトリックプレーが披露されるや否や、国内にとどまらず海外でも大きな反響を呼んだ。
英『デイリーメール』は「日本の高校の試合でこのフリーキックが成功したのを見て、元日にこのセットプレーを再現しようとするプレミアリーグのクラブがあっても、それほど驚くことはないだろう」と評した。もちろん世界最高峰のリーグでこれが再現されることはなかったが……。
米『ESPN』では2014年にチェコのクラブが似たようなトリックプレーをしていたことを紹介。そして「あれから7年、高川学園はフリーキック前の“メイポールダンス”を、攻撃的なセットプレーを持ち味とするチームにとっての正真正銘のオプションとして認めさせたのである」としている。
また「日本の高校サッカーには革新的なセットプレーに関して輝かしい歴史がある」と、2015年度大会決勝で東福岡が見せた“歩く壁”もあわせて振り返った。そもそもこのプレーは、過去に立正大淞南が東福岡戦で披露したものである。
こう振り返ってみると、高校サッカーではセットプレーでの斬新なアイデアが多く生まれてきた。