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高川学園「ぐるぐるトルメンタ」や東福岡「歩く壁」など斬新セットプレー… では世界的流行《FKで壁下に寝そべるアレ》の名前は?
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2022/01/08 17:01
高川学園の「トルメンタ」と“壁の下で寝そべるアレ”。フリーキック1つをとってもフットボールの世界は奥深い
英『GiveMeSport』はドアと床の隙間からの虫の侵入防護や熱の遮断のために、ドア下部に貼り付けるシールになぞらえて「ドラフトエクスクルーダー」と名付けた。
この防御策が試されたのはこれが初めてではないだろうが、ブロゾビッチの完璧な成功例が普及させるきっかけとなったことは間違いない。
なお当該シーンの動画がメディアやSNSを通して拡散されると、世界のトップクラブでも壁の後ろで寝転がる様子は多くみられるようになった。至近距離からのフリーキックで守備側が抱える不安は大きく軽減されている。
もしかしたらロシアW杯コロンビア戦の失点も防げた?
ブロゾビッチが見せたプレーがあと4カ月早ければ、ロシアワールドカップで日本がコロンビア戦で喫した失点もなかったかもしれない。
昌子源が明かしたところによると、壁はジャンプをせず、できるだけ高くつま先立ちをするとチーム内で意志疎通されていたという。しかしハイジャンプをしてしまい、キッカーにその下を狙われた。
川島永嗣は「壁の下を越えた時点でかなり厳しいなと思った」と振り返っているが、悲しいかな、その対処法が世界中に広まったのはわずか4カ月後のことだった。
歴史を紐解いていくと、デザインされたプレーやルーティンは数多く生み出されてきた。いかに相手の意表を突く動きでゴールを奪うかを研究し、さまざまなトリックプレーが編み出されている。
そしてそれを防ぐ守備側も同じ。失点のリスクを減らすために常に新たな策が練られ、時に斬新に映るものもある。
フットボールは純然たるスポーツである一方、観る人にとってはエンターテインメントという側面がある。勝利してナンボの世界で、フットボールの史書に載っていないプレーを試みる選手がいて、そうしてロナウジーニョやメッシの虜になった人が世界中にいるのだ。
名将たちによる戦術の高度化が進み、選手の動きがより洗練されていくこの時代においても、人々はトリックプレーに魅了されている。これはロマンだ。
いつの時代も進化することをやめない、それこそがフットボールの醍醐味である。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。