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勝ち運に見放された田中将大、覚醒間近の佐々木朗希、完璧だった山本由伸の来季はどうなるか《成績で見る勝因敗因/パAクラス》
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS/Sports Graphic Number/Kyodo News
posted2021/12/30 11:08
則本昂大、山本由伸、佐々木朗希。パ・リーグでAクラスに入った3球団の投手に2022年も注目したい
打線は、傑出した選手こそいなかったものの、1番荻野貴司、2番マーティン、3番中村奨吾、4番レアードという上位打線はつながりがよかった。特に荻野はスピードとパワーを兼ね備え、12球団でも屈指の「怖いリードオフマン」だった。
またチーム最強打者マーティンを2番に据え、バントから強攻策まで柔軟な打撃ができる中村を3番に置いたことで、様々なシチュエーションの攻撃ができた。それだけに、9月19日に自打球を足に当てて骨折したマーティンの勢いが止まったことで、終盤戦やや失速したのは残念だ。なお「第2の村上宗隆」の期待が高かった安田尚憲は今年も花が開ききらず。角中勝也など中軸選手の高齢化が進む中、若手の底上げは喫緊の課題だ。
救援陣が今季の活躍を維持できるかがカギ
投手陣は、先発陣はエース格の石川歩が5月に戦線離脱。9月まで復帰できなかったこともあり、弱体化した。それでもシーズン後半に左腕・小島が好投、そして何より満を持して投入した佐々木朗希が、期待にたがわぬ投球を見せたことで、来季に大きな期待を抱かせた。
苦しい先発陣を補って余りある活躍をしたのが救援投手陣だ。益田直也は苦しい局面もあったが最多セーブ、ハーマンは期待外れだったが、DeNAから移籍した国吉が剛速球でセットアッパーとして定着。佐々木千隼もしぶとい活躍だった。
来季は、佐々木朗希が開幕からローテに加わると考えられるため、先発陣が復活すると思われる。救援陣が今年と同程度の活躍ができれば、千葉ロッテは引き続き優勝戦線に踏みとどまるのではないだろうか。
オリックス:投打の柱が2本から4本に
<1位 オリックス・バファローズ>
70勝55敗18分 勝率.560
チーム打率.247(1位)チーム防御率3.31(2位)
・打線
1(中)福田周平 112安1本21点9盗 率.275 RC51.88
2(三)宗佑磨 131安9本42点8盗 率.272 RC61.96
3(左)吉田正尚 132安21本72点0盗 率.339 RC90.21
4(右)杉本裕太郎 144安32本83点3盗 率.301 RC93.5
5(DH)T-岡田 86安17本63点2盗 率.241 RC51.89
6(一)モヤ 81安13本47点1盗 率.229 RC31.49
7(二)安達了一 83安0本18点5盗 率.259 RC36.70
8(遊)紅林弘太郎 102安10本48点2盗 率.228 RC35.9
9(捕)伏見寅威 52安4本25点0盗 率.218 RC19.43
・先発投手
山本由伸 26試18勝5敗193.2回 率1.39 PR44.97
田嶋大樹 24試8勝8敗143.1回 率3.58 PR-1.59
宮城大弥 23試13勝4敗147回 率2.51 PR15.84
山崎福也 22試8勝10敗116.1回 率3.56 PR-1.03
増井浩俊 15試3勝6敗71回 率4.94 PR-11.52
山岡泰輔 12試3勝4敗69.1回 率3.89 PR-3.16
・救援投手
富山凌雅 51試2勝1敗0S20H46.1回 率2.72 PR3.91
ヒギンス 49試1勝2敗2S28H46.1回 率2.53 PR4.89
平野佳寿 46試1勝3敗29S3H43回 率2.30 PR5.64
山田修義 43試1勝0敗0S9H43.2回 率2.27 PR5.87
比嘉幹貴 32試1勝0敗0S11H20.1回 率1.77 PR3.86
2020年は最下位に終わったオリックスだが、ポテンシャルは高かった。首位打者の吉田正尚に防御率2位と最多奪三振の山本由伸と、投打に傑出した選手がいたからだ。
問題は「それ以外の選手」だったのだが――今季は打で杉本裕太郎、投で宮城大弥と、吉田正、山本に次ぐ投打の柱が生まれた。これによって、オリックスは最下位から一気にジャンプアップした。