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《カーリング》ロコ・ソラーレがプレーオフを制し北京五輪出場確定「個性をつぶさず、のびのびやる」で狙う平昌銅メダル超え
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2021/12/26 17:01
プレーオフ韓国線に勝利し、喜ぶロコ・ソラーレの面々。(左から)吉田夕梨花、吉田知那美、鈴木夕湖、藤澤五月
対応力を生んだのは、チーム内のコミュニケーションだ。
カーリングは、選手間の意思疎通が重要であるといわれる。バンクーバー五輪で金メダルを獲得したスウェーデンのスキップ、ノルベリもこう語っている。
「私たちは1年中、家族同様のつきあいをしています。アイスの上で誰がどう考えているかすぐ分かり、気分の変え方も知っています」
どのチームも試合の中で氷の状態やストーンの曲がり具合を伝え、情報を共有しようと試みる。ただそれがきちんとなされるか、意思統一ができるかは別だ。
今大会の氷の状態の難しさに、苛立ちを見せるチームもあった。それに対して、ロコ・ソラーレは、難しい状況にも頭を抱えることもなく皆で向き合った。うまくいかないプレーがあっても、励まし合った。
2度目の大舞台へ
この大会においても好ショットで大活躍を見せたセカンドの鈴木夕湖が以前、チームを象徴するようなこんな言葉を残したことがある。
「個性をつぶさず、のびのびやることでこういうチームになりました」
個性を活かすチームの方向性のもと、何年も時間を共有し、平昌五輪の銅メダルを獲得。そして2度目の大舞台への挑戦権を手に入れた。
スキップの藤澤五月は語る。
「しっかり韓国に勝ち切れて、自分たちの手でオリンピックの切符を取れたことを誇りに思います。今回出た課題、自信もこのまま持ちながら北京オリンピックに向けてまた準備していきたいです」
北京にはすでに出場権を得ていたスウェーデンやカナダなど、強豪がそろう。でも、その中で伍していくだけの経験は重ねてきたし、最終予選もまた、今後につながる経験となる。
北京の地でどのような姿を見せるのか。
2度目の五輪に向けて、成熟の一途をたどるチームのパフォーマンスが楽しみだ。