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「ロコさんがいたから強くなれた」4度目の五輪挑戦、代表決定戦に懸けたカーリング・吉村紗也香が惜敗直後に見せた表情とは
posted2021/09/19 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JCA IDE
9月10日から12日にかけて行なわれたカーリングの女子日本代表決定戦。
この一戦の勝者は北京五輪出場枠をかけた12月の世界最終予選(オランダ)に参加し、出場枠を獲得すればそのまま日本代表となる。オリンピックへ向けた大一番だった。
2018年の平昌五輪で銅メダルを獲得し、2020年日本選手権優勝のロコ・ソラーレ。そのロコ・ソラーレを破り2021年日本選手権の優勝を果たした北海道銀行。この2チームの頂上決戦は、ロコ・ソラーレの3勝2敗で幕を閉じた。
氷上には、さまざまな表情で喜びや安堵を表すロコ・ソラーレの選手たちがいた。
一方で、リンクから引き上げる北海道銀行の選手たちがいた。両チームの姿がコントラストを描く。
ただ、勝者と敗者の差は紙一重だった。
2連敗からの3連勝
ロコ・ソラーレが連敗したあと連勝で巻き返し、2勝2敗。最終戦にもつれこんだ勝負は、最後の最後まで予断を許さない展開となった。
ロコ・ソラーレの7-6で迎えた第10エンド、不利な先攻だった北海道銀行が、スイーパー(掃き手)と連携しつつ好ショットで逆転への形を作っていく。スキップ吉村紗也香の最終投でロコ・ソラーレのストーンを弾き出し、ナンバー1、ナンバー2を確保。ロコ・ソラーレのスキップ藤澤五月のラストショット次第で逆転できる状況を作る。それでも藤澤が完璧なドローショットを決めて8-6と勝利したが、重圧のかかる局面で決めたロコ・ソラーレが見事だったというほかない。
結果だけ見れば、連勝したあとにロコ・ソラーレに傾いた流れを止められず3連敗したことになるかもしれない。それでも、敗れてなお、北海道銀行も存在感を示した。
開幕を前に、吉村はこう語っていた。