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「マックスが出せました」スノーボードW杯ビッグエアで圧勝の岩渕麗楽、悔恨の平昌五輪から4年で磨いた「心」とは
posted2021/12/19 17:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
雪上競技のシーズンが始まり、北京五輪に向けての争いが本格化する中、スノーボードで日本勢の活躍が目立っている。その1つ、スノーボードの女子ビッグエアで輝きを見せたのが岩渕麗楽だ。
12月4日、アメリカのコロラド州で行なわれたワールドカップ最終戦で178.25点で優勝。2位となった平昌五輪女王のアンナ・ガサー(オーストリア)の148.00点に対し、30.25点という大差をつける圧勝劇だった。
その内容にも強さがあらわれている。1回目でトップに立った岩渕は、2回目は失敗。すると3回目、横に3回転半する高難度の技「バックサイド1260」に挑み、成功させる。全選手中ただ1人の90点台となる91.00点をマークしたのだ。
「自分に集中できた」
その言葉には成長と、4年前への思いが込められていた。
平昌五輪で表彰台に届かなかった理由
12月14日に20歳の誕生日を迎えた岩渕が注目を集めたのは、2017−2018シーズンだった。このシーズンからワールドカップに参戦すると、スロープスタイルで4位、ビッグエアでは優勝を飾る活躍を見せたのである。平昌五輪にも両種目で代表入り。当時16歳で日本選手団中最年少参加と、上位進出を狙えるポテンシャルに、期待が寄せられていた。
それに応える成績を残したのが平昌五輪から正式競技として採用されたビッグエアだった。最初の出場種目スロープスタイルで14位となり迎えた22日のビッグエア決勝で、表彰台にあと一歩と迫る4位入賞を果たしたのだ。1回目に「キャブ900」(通常とは逆のスタンスから横2回転半)を成功させたことが、原動力となった。
ただ、岩渕の表情は悔しさをみなぎらせていた。
「今は悔しい気持ちでいっぱいです」
2、3回目にさらに難度をあげ、「バックサイドダブルコーク1080」(縦2回転、横3回転)に挑んだが、いずれも着地が決まらなかった。それが3位との10点差となった。「心技体、すべてを磨いていかなければいけないと思います」
難度の高い技の成功率、何よりも「心」が足りなかったと考えた。