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《カーリング》ロコ・ソラーレがプレーオフを制し北京五輪出場確定「個性をつぶさず、のびのびやる」で狙う平昌銅メダル超え
posted2021/12/26 17:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
KYODO
切符を手にした瞬間、笑顔が、安堵が、選手たちの表情に浮かんだ。
12月5日に開幕したカーリングの北京五輪最終予選。17日に行なわれた女子のプレーオフで、ロコ・ソラーレは韓国に8-5で勝利、銅メダルを獲得した平昌五輪に続く2大会連続出場を決めた。
試合を終えたあと、4人は同じ言葉を口にした。
「ほっとしました」
率直な思いだっただろう。
参加9チーム中、出場権を獲得できるのは3チーム。しかもスコットランド(オリンピック時はイギリスとして出場)、韓国といった有数の実力国もいる。その中で、7日間9試合という長丁場を駆け抜けた。
1次リーグはスコットランドに敗れたものの1位で進んだが、最終戦でトルコに敗れ、6勝2敗。スコットランドと韓国に並ぶ同率首位で終了したが、規定によりスコットランドが1位となり五輪切符を手に入れた。そして3位のロコ・ソラーレと2位の韓国でまずプレーオフを実施。勝利したほうが出場権を得るという展開になったが、終わってみれば、ロコ・ソラーレのたしかな地力が発揮された。
最終予選の序盤には、チームの特徴がプレーにあらわれていた。
初戦のイタリアには第5エンドまで4-4と同スコアだったが後半に突き放し、11-6で勝利。続くドイツとの試合も第5エンドまで2-2、そこから拮抗した戦いを制し7-6、第3戦のチェコ戦もまた第5エンド終了時に2-2、後半は優位に立って6-2と3連勝の好スタートを切った。おおよそ、どの試合でも試合中盤以降に相手のプレーを上回っての勝利であった。
そこから浮き彫りになるのは、試合を進める中で氷の状態をつかみ、自分たちのプレーを推し進めるロコ・ソラーレの対応力あるいは修正力の確かさだ。
難コンディションを乗り越えた対応力
そもそも今大会は、氷の状態がめまぐるしく変化し、難しいコンディションであったという。試合が重なっていく中で、ストーンが曲がらなかったり、あるいは曲がる状態になったり、そこから曲がらない状態になり、再び曲がるコンディションへと、刻々と変化していった。
そこにどう対処するかがこの大会でのポイントだったが、そのマネジメントが五輪切符へと結びついた。1次リーグで韓国に勝利したあと、吉田知那美が語っている。
「アイスがとても難しく、1日1日フレッシュな状態で、今日は今日のアイスで戦おうと。アイスに対していい集中ができました」
「1エンド、1エンド、アイスに向き合うことがこの大会をいい状態で乗り切るためのキーポイントです」