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「ロッカールームの中での出来事を話したくはない」いつも物静かなメッシに“最後にムカついた相手は誰?”と聞くと…
posted2021/12/15 17:01
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph by
L’Équipe
フローラン・トルシュ記者によるリオネル・メッシインタビューの第2回である。今回のインタビューが7つのパートに分かれているのは、それぞれのテーマがメッシという選手・人間を語るうえでのキーワードだからである。最初の《謙虚さ》からはじまり、《根気強さ》、《創造性》、《内気さ》、《自由》、《野心》、《特異性》。そうした言葉から浮かび上がってくるメッシ像とは、いったいどんなものなのか……。
率直に言えば、それは私たちが普段から理解しているメッシのイメージから離れたものではない。ディエゴ・マラドーナやクリスティアーノ・ロナウド、ズラタン・イブラヒモビッチといった個性的でアクも強い選手たちの対極にメッシは立っている。無色透明感こそが彼の最大のキャラクターであるともいえる。
そんな彼が、どうしてここまでの存在になれたのか。そして現実と折り合いをつけているのか。読者の皆さんも考えて欲しい。(全3回の2回目/#1、#3へ・肩書や年齢などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
3.創造性について
――アーセナルとの2011年のCLラウンド16第2戦(3月8日、3対1でバルセロナの勝利)で、GKのマヌエル・アルムニアとゴール前で1対1になったあなたは、彼の頭上を越えるボールで抜き去ってゴールを決めました。あのようなプレーは練習で繰り返して身につけるのでしょうか、それとも本能的に身体が動くのでしょうか?
「いや、あれは……。ああいうゴールを常日頃から思い描いて準備するのは難しい。他のプレーとはまったく異なるし、あれをする機会がそうそうあるわけじゃない。もちろん毎日の練習で上手くなろうと励んではいるけど、ああいう状況は自然に生まれる。僕自身は子供のころからプレーのスタイルを変えてはいない。いくつかのプレーは状況に応じて無意識にやっている。あの夜に関しては、ダイレクトにループでGKの頭を越すのが得点を決めるのに最善と判断したから、自然とあんな動きになったんだ」
――多くの選手は効率を追求しますが、あなたの場合は記憶に残る美しいゴールが多いです。2015年のCL準決勝第1戦のバイエルン戦(5月6日、3対0でバルセロナの勝利)で、あなたはフェイントでジェローム・ボアテンクのバランスを崩して尻もちをつかせたうえに、マヌエル・ノイアーの頭越しにループシュートを決めました。あなたにとって美しさは得点と同じぐらい大事なことなのでしょうか?