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「ロッカールームの中での出来事を話したくはない」いつも物静かなメッシに“最後にムカついた相手は誰?”と聞くと…
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フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/12/15 17:01
バロンドール授賞式の壇上で、終始穏やかに受賞を喜んだメッシ。最高栄誉の賞でさえ、自然体で受け入れている
「いや、僕は泥臭いゴールを決めるのに何の躊躇いもないよ(笑)。アタッカーにはさまざまな攻撃のスタイルがある。僕はボックス内のアタッカーではない。もっと後ろから動き始める。それが僕のゴールが他と違っている理由じゃないかな」
4.内気さについて
――あなたは内気でもの静か、あまりしゃべらないと見られています。その認識は間違っていると思いますか?
「信頼を置いている人たち――家族や友人たちに対しては、僕はそんな風ではない。彼らの外側にいる人たちから見たら僕は内気だろうし、寛いでいないように見えるかも知れない。たしかに慣れるまでには時間がかかる。でも親しい人たちにとって僕はノーマルな人間だ。陽気だし、それぞれの時間を楽しんでいる」
――アルゼンチンでは、あなたがリーダーシップを欠いているとしばしば批判されています。とりわけ開けっ広げな性格のディエゴ・マラドーナとはよく比較されますが、あまり快くは感じていませんか?
「いやいや、率直に言ってディエゴと自分を比較したことは一度もない。あり得ないね。そもそもそんな比較自体に興味がない。ただ、別の批判に悩まされたことは過去にあった。実際、アルゼンチン代表での状況はかなり厳しかったが、理由はリーダーシップではなかった。彼らが僕を批判したのは、ピッチの上でのことだがサッカーとはまったく関係がなかった。スポーツの枠を大きく超えていた」
――あなたはいつももの静かですが、ロッカールームやピッチ上でいら立つことはありませんか。最後にムカついたのはいつか覚えていますか。相手は誰で、どんな理由でしたか?
「ああ、たしかにいら立つことはあるが、ロッカールームの中での出来事を話したくはない。プライベートな出来事と同様に、自分の中に留めておくべきことだからだ。その親密さがグループの力を生み出す。いら立ち、相手に面と向かってものを言うことで、結束力も高まっていく。僕だけじゃなく誰もがときにいら立つ。だがグループがひとつの目標に向かって突き進んでいるときにそれは問題じゃない。逆に前進する力が得られるからだ」
――リオネル・メッシのチームメイトになるのは容易いことですか?
「それは僕よりも別の人たちに聞くことだろう(笑)。僕には簡単とも難しいとも言えないな……。僕をよく知っている人もいれば、そうでない人は少しずつ僕を知るようになる。たぶん若い人の方が、僕に対するイメージが膨らんでいて大変かもしれない。でもいったん理解すれば、後は何も難しくはない」