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将棋PRESSBACK NUMBER
《将棋会館イラスト取材》観る将マンガ家が驚きっぱなし「中村太地七段、心も手も美しい」「あ、あれ…渡辺明名人?」
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byNanae Suzuki/Junsei Chida
posted2021/12/03 11:06
観る将マンガ家が将棋会館取材&千駄ヶ谷周辺を歩いたら、驚きの連続だった
これだけでも観る将としてはウキウキするのに、入口の向かい側を見ると、あれ食器やポットがいっぱい置かれている。その視線に気づいたのか、太地先生が少し笑みを浮かべて……。
「そうだ、これは前日のお食事や水分補給のポットですね。意外とこんな感じで雑然としているんです(笑)」
いつも棋士の皆さんが注文されている将棋めしなどの裏側を見られるとは!
道場は“藤井フィーバー”もあってか大盛況だった
写真で見た特別対局室は、まさに将棋の最高峰バトルにふさわしい風格が漂っています。この中で藤井聡太竜王や渡辺明名人、永瀬拓矢王座に羽生善治九段……(以下ずっと名前を挙げていきたいんですけど、泣く泣く割愛)といった名棋士たちが名局を繰り広げていったのか。4階の奥にある特別対局室を想像するだけでも感慨深くなりました。
取材を経て2階の道場に降りると、この日は休日ということもあってか、開始を待つ老若男女の人々が階段下まで並んでいました。
「こんなに並んでいるとは! 私も少し経験にないですね」
太地先生もこのように話していました。特に小学生の子どもたちが多く、やはり藤井竜王効果はここにもあるんだな……と。日差しが差し込む中での対局は本当に楽しそうで、将棋盤が広がったスペースは非常に開放感があって素敵な空間でした。
「お礼と言っては何なのですが、これをぜひ」
さて、この将棋会館探検に付き添ってくださった太地先生。そもそも今期の順位戦B級2組で首位を走る(12月2日現在)棋士の方に話を聞けるだけで僥倖なのに、本当に外見も内面もイケメンでした。だって……。
「千田先生、将棋界のイラストを描いてくださり、本当にありがとうございます。お礼と言ってはなんなのですが、これをぜひ受け取っていただければと」
と突然渡されたのは、太地先生の「木鶏」(※木彫りの鶏のように、冷静に見えつつ全く動じないという意味とのこと)と記された直筆サイン色紙! ちょっとこんなサプライズ考えてなかったんですけど……家宝にします、はい。
と、ウキウキしつつ感染症対策を講じながら、取材場所に1時間ほど同席させてもらった(おまけにガンガン質問させてもらった)のですが、太地先生が話しているときに見ていたのは……実は手でした。
自らの人生を決めるといっても過言ではない、駒を扱う手は、本当に美しかったんです。「指し手」「一手」という言葉に込められた意味を、これほどまでに近くで感じられるとは――と内心でずっと思っていました。太地先生はこのイラストを見るまで、たぶん気付いていなかったと思いますが(笑)。
太地先生を見かけたファンがみんな嬉しそう
そして前述した通り、道場見学にもお付き合いしてもらったんですが、マスク姿の太地先生に気づいた参加者の人々の反応が、本当にうれしそうでした。