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バルサ監督シャビが9年前に語っていた“選手の素質”「『そのサイズで中盤は無理だ』って。だけどみんな僕を手本にしている」 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/12/08 17:01

バルサ監督シャビが9年前に語っていた“選手の素質”「『そのサイズで中盤は無理だ』って。だけどみんな僕を手本にしている」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今年11月に古巣・バルセロナFCの新監督に就任したシャビ・エルナンデス

「監督の意図は中盤で数的優位を作ることなんだ。ディフェンダーを減らせば中盤の選手を増やせるからね。'08-'09シーズン終盤にはリオネル・メッシを右サイドから離し、中央でボールに絡ませるようにした。その後バルサの中では明らかに異質な特徴を持っていたズラタン・イブラヒモビッチを試すこともした。昨季は陣形の上ではセンターフォワードであるメッシに完全な自由を与え、ゴール前に張っている者がいなくても得点できることを証明した。また攻撃時は両サイドバックを上げ、ピボーテを下がらせ、シャビが言うとおりのスリーバックを作っていた。そして今季は前述のアウベスの位置の他、セスク・ファブレガスを攻撃陣のリベロとして使っている。

 クラブワールドカップ決勝のサントス戦を例に説明すると、あのときセスクとメッシはツートップのように高いところに立ちながら、ボールをもらうために僕らのところまで下がってきた。一方で、チアゴ・アルカンタラとアウベスは外に開き、相手のサイドバックを釘付けにした。そしてバルサのキーマン、セルヒオ・ブスケッツがみんなをバックアップした。こうすることで、中盤でのパスがうまく繋がったんだ」

 ピッチにはアンドレス・イニエスタもいたから先発11人のうち実質7人が中盤の選手。こんなラインアップは、あの日が初めてである。

試合の主役は選手でも監督でもなくボール

 絶対に負けられない試合にグアルディオラがこの布陣と戦術で臨んだことで、バルサにとってのボールポゼッションの重要性が改めて浮き彫りになった。

「ボールを持つことは僕らのサッカーの基盤であって、チームがどれだけ進化しても、そこだけは絶対に変わらない。なにしろバルサというクラブは8歳の子供たちにも決まったやりかたでサッカーをさせるんだ。ポジションがどうとかオートマティズムがどうとかいう前に哲学ありき。一番大事なのはボールであって、ボールがなければ試合の主導権は握れない。それどころかボールなしでは何もできないからね。

 相手チームに一方のサイドから逆サイドまでパスを繋がれ、こっちはボールを追いかけて走るなんてことになったら最悪だよ。本当にきつい。だからバルサではまずボールを持つことを徹底し、それからポジションの取り方やカバーリングやサポートの仕方を磨いていくんだ」

 試合の主役は選手でも監督でもなくボール。それをカンテラ出身者は幼いときに、他クラブから移籍してきた者はチーム加入後まっさきに教えられる。すると基になる考え方が一本化されるため、その後フォーメーションが変わっても、一時的な指示が与えられても、プレイに迷いは現れない。

「ボールがあるときは11人全員が自分の仕事をするから、何もしなくてもチームに秩序が生まれる。ポジションの取り方だってボール次第。つまるところ、ゲームはボールが作るんだ。だからこそ一旦ボールを失ったら、できるだけ早く取り返さなきゃいけない。僕がボールを持っていたら君は攻められないだろ。こちらがボールを持つ時間が長くなるほど、敵は疲れ、混乱していくしね。

 では、どういう守備をすればいいのか。大事なのは守ることを目的にして守備をしていてはダメだってこと。バルサは攻めるために守る。ゴールを決めたいから敵のボールを奪い取りに行くんだ」

【次ページ】 バルサはなぜ速攻を仕掛けないのか?

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