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“ニュー・ネイマール”がC・ロナウドの後継者に! 21歳ビニシウスはなぜ4年目にして本格化できたのか?
posted2021/12/08 17:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
「ニュー・ネイマール」と大絶賛されるも
ビニシウス・ジュニオールは2018年夏、ブラジルのフラメンゴからレアル・マドリーにやってきた。
数カ月後、ジュレン・ロペテギ監督の下でリーガ・デビューを果たし、ロペテギの後釜サンティアゴ・ソラーリから継続的に出場機会を与えられると、みずみずしくキレのあるドリブルで注目を集めた。
R・マドリー寄りのスポーツ紙は「ニュー・ネイマール」などの表現で彼を大絶賛したが、「いや、それほどでも」と筆者は思っていた。
瞬発力もボールを扱うテクニックも確かにずば抜けている。けれど見事な突破をチームのゴールチャンスに結びつけられない。欧州1年目の18歳ということを思えば、それでも十分ではあったが。
続く2シーズンは期待した成長が見られなかった。出場時間の伸びと得点・アシストの伸びが比例しなかった。
すでに過去3シーズンの通算得点数を超えた
ところが、4年目となる今季は序盤から違う。
体捌き、ひらめき、ボールコントロールのすべてが冴え、動き出したら止まらないし、止められない。
得点力まで上がっている。昨季の得点数(3得点)を最初の2試合で決めたばかりか、10月末の第12節・エルチェ戦では2得点を奪い、過去3シーズンの通算7得点に並んだ。さらにその後もゴールを加算し、一気に追い越している。
いったい何があったのか。何が彼を変えたのか。
ラジオの人気サッカー番組で問われたビニシウスは、今季から指揮を執るカルロ・アンチェロッティ監督の存在に言及した。「自分を信じ、長い時間ピッチに立たせてくれる。だから良いプレーができる」と。
もうひとつ挙げたのは、心構えと努力だ。
「前はどうだったか分からないけれど、いまはしっかり(試合で良いプレーをするための)準備ができていると思う。100%の状態で試合に臨み、ずっとチームに貢献し続けられる準備ができるようになった」
面白みのない答えだが、プロとしては100点満点である。